一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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オウバクの成分

質問者:   高校生   ちいた
登録番号4439   登録日:2019-06-05
2011年以来、久しぶりに質問します。

小学生の頃、自由研究で植物が水を吸う仕組みを調べて実験していたときに、何度か質問させていただきました。
その後は植物の性質について実験したり調べたりしています。

今はオウバクの性質に興味を持ち、実験しています。
似たようなオウレンにはなく、オウバクにある性質として、粘性がありますが、オウバクの粘性はどのような成分からなるのでしょうか。
その成分だけを取り出したりすることは家ではできませんが、名前だけでもわかると、実験が楽しいので知りたいのです。
よろしくお願いします。
ちいた さん

質問コーナーへ再度ご来場歓迎いたします。小学生の頃から植物的な事柄に関心を持ち続けておられるようで、そんな方が一人でもおられると、とても嬉しく思います。
オウバクは生薬として胃の薬などによく利用されていますね。ところで、オウバク(黄檗)という名前はキハダ(Phellodendron amurense Ruprecht.またはP. chinense Schneider : 中国産) という樹木の樹皮から周皮(コルク層)を取り除いたものを乾燥させたもので、黄色ですね。これに含まれるベルベリンというアルカロイドの一種が薬効成分となっています。苦味はオバクノン、リモニンなどのテルペン類です。キハダの樹皮を剥ぐと粘性物質が存在していることがわかります。この物質の本体は水溶性の多糖類でと思われます。キハダの多糖類を調べたある文献(*)によると、ラムノース、アラビノース、ガラクトース、ガラクチュロン酸(これは抽出途中のガラクトースの分解物と思われる)で構成される分子量がとても大きい物質(2x106 K)のようです。特定の名前は付けられていません。残念ながら、この物質に関する新しい研究報告は見つかりませんでした。

*藤原剛 キハダ水溶性多糖類の構造について. 奈良大学紀要9:111-114(1980)


勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-06-10
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