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けやきの成長について

質問者:   自営業   くろちゃん
登録番号4445   登録日:2019-06-12
けやきのような木かなと思うのですが、成長が早いです。今は木のまわりは一メートルぐらいかと思います。太い幹が二階ぐらいの高さで、そこから小さな木3から5メートルが何本か生えているような感じです。ヤフーで検索すると、30メートルぐらいまでは伸びるけれどもその後は、幹のまわりが数ミリ太るだけのような記述がありました。成長について教えていただきたくメールしました。
くろちゃん様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
植物の茎の先端には茎頂分裂組織という細胞分裂の盛んな組織があります。そこでの細胞分裂によって生じた細胞は、その組織の下方で細胞の大きさ増しますが、特に茎の軸の方向への増加が大きいので下方の組織の縦方向への伸長成長がおきます。このような茎の先端部でみられる伸長成長は、草本植物でも樹木でも基本的には同じです。樹木の幹から分岐した枝でも同じです。                  
茎の先端部の伸長域を輪切りにしてみますと、茎の組織は一番外側の表皮、表皮のすぐ内側の皮層組織、茎の最内部の髄組織、皮層と髄の中間に位置する数個の維管束からできていることがわかります。維管束は分裂能力をもつ形成層という細胞から皮層側に光合成産物などの輸送に関与する師部組織が、髄側に根からの水や無機養分の移動通路である道管などからなる木部組織が作られることによってできています。ここまでは草本植物でも樹木でも同じですが、樹木では二次的に師部組織や木部組織を作り続けることによって幹の太さを増す点で草本植物とは異なります。二次的な師部組織や木部組織は、維管束の形成層同士が、新たにつくられた形成層によって繋がってできたリング状の形成層から、外側に師部組織を、内側に木部組織を作り続けることによって生じます。        
樹木は高く成長することによって他の植物によって邪魔されることなく光合成に必要な光を受容することができます。また、枝を伸ばすことによって光を受容できる面積を広げています。高さが増し、枝がはると、幹がその重量を支える必要がありますが、樹木は幹の基部を太くすることによって対応しています。また、二次木部の構成細胞にリグニンなどを沈着ることにより、組織の強度を高めることによっても対応しています。

樹高は樹木の種類によって遺伝的な制約を受けます。例えば、オーク類の樹木をその樹木の最適な環境で育ててもセコイアのように高くはならないでしょう。一方、同じ樹種でも環境要因の影響を受けます。例えばセコイアは湿潤な土壌で、霧が頻繁に発生する環境では、樹高は100mにもなりますが、乾燥した土壌で生育した場合は30mくらいまでにしかならないという記載があります。このことは、樹高を決める要因として水が重要であるということを示しています。土壌からの水輸送の限界による樹冠光合成活性の低下、重力による水ポテンシャルの低下が先端部の成長の制限要因になっていることが言われています(登録番号4118)。水分以外のもうひとつの要因としては、力学的な強さへの投資と関係が考えられています。樹高が高くなるにつれて、それを支えるのに必要な幹の太さや強さは急激に増加します。樹冠における光合成による生産と幹の太さや強度への投資との兼ね合いで成長速度が決まってくるというものです。棒を基部で支える場合、棒の長さが長くなるのにつれ、支えるのに必要な力が急に大きくなるということからも理解できるかと思います。

質問が「樹木の生長」という漠然としたものでしたので、質問内容の記載から質問したいと思われていることを推定して回答をつくりました。質問されたいことと違うかもしれませんが、その場合は改めて植物Q&A に再度質問をお寄せ下さい。

庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-06-20
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