植物Q&A

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根の色

質問者:   一般   キホ
登録番号4449   登録日:2019-06-23
料理を子供に教えています。ポリフェノールは光から身を守るために作られる植物色素であると聞いたことがあります。だから強い光を受けると葉が濃くなったりするのだと思っていますが、ニンジンやハツカダイコンもきれいな赤やオレンジ色をしています。これらの色素もポリフェノールだと思うのですが、地下にある根は光が当たることはありません。それなのに葉や果実のように色がついているのはなぜでしょうか。また葉に光が十分に当たらなければ根の着色も悪くなるのでしょうか。子供達に教えてあげたいのでぜひ教えてください。
キホ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物色素の生合成と光の関係に関するご質問と理解いたしました。陸上植物の色素には大きく4つのグループがあります。クロロフィル(葉緑素-緑色)、カロテノイド(黄色~赤色)、アントシアニン/フラボノイド(黄色~赤色~青色~紫色)とベタレイン(黄色~赤色)です。このうち、ポリフェノールはアントシアニン/フラボノイドだけです。これらの色素は葉、茎、根、花など、どの器官でも生合成されますが、どのグループの色素がどの器官のどの部分で生合成され蓄積するかは、種によって遺伝的に決められた形質です。また生合成される細胞内の場所や蓄積する場所は色素によって違いますが、ほとんどの場合、色素生合成は光を必要としたり、光によって促進されたりします。クロロフィルやアントシアニンなどは光がなければ生合成されません。カロテノイドの生合成反応自体には光を直接必要としませんが、継続的生合成と蓄積には間接的に光が必要です。自然の状態では、根ではクロロフィルは生合成されませんし、発生、成長の過程で根自体の細胞は光があってもクロロフィルを合成する能力を失っています。ダイコン、ニンジン、サツマイモ(いずれも根)に光をあててもクロロフィルは出来ませんが、ジャガイモ(茎、塊茎)は光をあてると緑色になります。アオクビダイコンや他の多くのダイコンでは上部は薄緑色で、クロロフィルが合成されています。ダイコンの上部、葉が付いている側は胚軸と言う茎の一種でその下部が本当の根となっているからです。ダイコンの薄緑になっている部分には側根はありませんが、白い部分には細い側根が出るくぼみが縦に並んでいますね。その部分が本当の根です。
双子葉類の種子が発芽したとき、芽生えには2通りの型があります。種子の子葉(種子の本体)が地上に残るもの(アズキ、エンドウ、ソラマメなど)と茎の先端に付いていくもの(ダイズ、緑豆、モヤシマメなど)です。どちらの方も地上部は同じ茎のように見えますが、アズキ、エンドウ型の茎は本当の茎で、ダイズ、緑豆型の茎は胚軸と言われる茎の一種です。本当の茎と根との間にある、茎から根への転換領域です。胚軸は茎の一種ですから光が当たるとクロロフィルが出来ますがその能力は小さいものです。ハツカダイコンはダイコンの一種で、肥大する部分のほとんどは胚軸で根は下の方にあります。赤くなるのはアントシアンが生合成、蓄積する形質を遺伝的にもっているからで、クロロフィルも出来ているはずですが、多量のアントシアニンの色に隠されています。ダイコンとは違う点です。ニンジンは純粋に本当の根で、カロテノイド色素を生合成、蓄積する遺伝的形質をもっています。ニンジンの根の色はかなり赤いものもありますがポリフェノールではなくカロテノイドです。トマトの赤い色素(リコピン)と同じ仲間です。カロテノイド生合成自体には光は必要ではありませんが、合成する材料(活性型酢酸分子)を合成するためには光合成で糖類を作り、その後の生化学反応で活性型酢酸とそれを作るのに必要なエネルギーを得るので、継続的にカロテノイドを生合成、蓄積するためには光(光合成のための)が必要です。
植物に対する光の影響は多面的で色素生合成ばかりでなく、成長現象全般に関わり、その働き方は複雑です。緑色植物は光が十分にないと健全な体を作ることが出来ません。
光の効果、影響についてはたくさんのご質問がこのコーナーにありますので、「光」をキーワードとして検索して頂ければ参考になると思います。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-02
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