一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ピーナッツの不思議?

質問者:   その他   かっちゃん
登録番号4452   登録日:2019-06-25
父がピーナッツを作っていたので私も作って自家消費しています。炒って戴くのが最高の美味しさかと。
さて、今年も種まきをして、ふと、不思議だなと思ってその原理的なことを教えていただければと思って投稿しました。
土を割って芽が出て、土が塊のように思えたのですが。触ってみるとさらさらなのでびっくりしました。他の苗ではないように思え、ピーナッツ特有かと思うのですが、どういうことなのか、教えていただければ嬉しいです。
かっちゃん様

植物Q&A のコーナーを利用下さりありがとうございます。

私たちと同じように植物も呼吸をしています。すなわち、酸素を取り入れ、糖などの物質(呼吸基質)を酸化することによって、呼吸基質が持っているエネルギーを植物が利用できるエネルギーに変えています。しかし、この過程で、呼吸基質のもっているエネルギーのすべてを植物の利用できるエネルギーに変換することはできず、一部は熱になります。したがって、呼吸によって植物体の維持や成長に必要なエネルギーを取り出す時には常に熱が放出されることになります。雪の降った後、チューリップの芽生えなど植物体の周辺の雪がいち早く溶け、植物体の周りにリング状に土壌が露出しているのをよくみかけます。植物体から熱がでていることを示すものでしょう。

種子が発芽、成育する時には多くのエネルギーが必要になり、呼吸が活発になります。発芽時の呼吸基質としては、光合成の始まる前は種子に貯蔵されている物質が用いられます。ピーナッツ(和名ナンキンマメ)のような大型の種子には、多くの呼吸基質が貯蔵されていますので、呼吸によって発生する熱の総量も多くなると思われます。また、小型種子からの発芽植物や先のとがった発芽植物が土壌の間を縫って地上に出てくるのに対し、ピーナッツのような大型の発芽体は土壌を押し上げるようにして地上にでてきます。そのため、押上げられた土壌の風通しがよくなることが考えられます。土がさらさらなのは、熱と風通しのよさによって乾燥がすすんだのではないかと思います。

なお、植物Q&A 登録番号3709 が参考になると思いますのでご覧になって下さい。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-04
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