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ヤマモモの果実の成り立ち

質問者:   その他   二上山の風
登録番号4454   登録日:2019-06-26
 ヤマモモの熟れる季節になりました。この果実を食べてみると、外果皮、中果皮、内果皮という説明ができません。果実の表面はツブツブになっていて、その一つ一つは直径1ミリほどの筒状の袋で独立しています。この中の液が甘いです。したがって一枚の外果皮というものはありません。この筒状の袋(粒粒)は何でしょうか。ネットでヤマモモの雌花の子房にたくさんの粒粒が付いているものを見ました。これが果実の粒粒のもとになるとしたら「毛」でしょうか。毛だとすると桃の果実の表面の毛と同じものなのでしょうか。そうすると、モモのように粒粒の下に外果皮があるということになるのでしょうか。
 また内果皮の核にたくさんの糸状の毛のようなものが生えていますがこれは何でしょうか。たしかモモの核にも同じような糸状のものが見られます。よろしくお願いいたします。
二上山の風様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。食用とする果実などを漫然と食べるだけでなく、その構造などに関心を持たれるのは素晴らしいことです。私はヤマモモ(Morella rubra Lour., Myrica rubra Siebold et Zucc. ) の果実を見たことはありますが、ジャムしか食べたことがありませんので、興味が湧き調べてみました。残念ながらこの果実の専門の研究者、ヤマモモの果実の形態に関する詳しい研究論文は見つかりませんでした。ご質問の中でヤマモモの果実では「外果皮、中果皮、内果皮」という説明ができない」とありますが、ヤマモモの果実は核果なので、この三つの部分は存在します。ただ、典型的な核果のモモや梅のように可食部は明確な肉質の中果皮ではありません。 
果実の形態は実に様々です。ヤマモモでは硬質の核は内果皮でできており、可食部分となっているのは、核の外側に発達した中果皮と外果皮です。この可食部分は細かい円筒状の柱のようなものが沢山集まってできたもので、果実の食味はこの円筒状の組織の形や太さに影響を受けるようです。
さて、この円筒状の構造は何かということですが、ヤマモモ自体については明確な研究報告はみつかりませんでした。しかし、同じヤマモモ属の Myrica jaya (fayatree)についての記載がありましたので、それに沿って説明します。fayatree もヤマモモと同じような果実を作ります。fayatreeでは雄蕊が子房壁に合着して、そのまま成長成熟し、外果皮表面に残存するという特徴ある核果を作ります。したがってご質問にある「つぶつぶ」はおそらくfayatreeの果実と同じ合着した雄蕊ではないかとおもいます。なお、この構造は英語では「gynostegium」と言います。 
生物学辞典(岩波書店)によると「ずい柱:ズイチュウ」と言い、ラン科やガガイモ科などの花で見られるような雄蕊と雌蕊の合着した構造体を指します。


勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-10
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