一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花粉管の正体

質問者:   教員   チョコハル
登録番号4461   登録日:2019-07-04
精細胞の核が運ばれている「花粉管」は、細胞レベルではどういう構造なのか。授業でホウセンカの花粉管がぐんぐん伸びているようすを観察し、核らしきものが見えた生徒もいた。1つの花粉から2本発芽するものもあったが、花粉管自体は、花粉から分裂した1つの細胞がどんどん伸びたものですか。
チョコハル 様

本質問コーナーをご利用下さりありがとうございます
質問文に書かれているように、「花粉管細胞」は、花粉粒が不等に分裂して出来るは大きい方の細胞で、受精において主役となる「精細胞」を取り込んで保護し、胚珠まで送り込む役割をになっている細胞であると言えます。核相nの細胞と言うことになりますが、基本構造としては細胞膜(原形質膜)と細胞壁で囲われ、内部には大きな構造体としての「細胞核(栄養核)」と「精細胞」・ミトコンドリア・ゴルジ体・小胞体・色素体・脂質顆粒などの細胞内容物が含まれています。なお、花粉管細胞は一方向的に先端生長(付加伸長)することを特性としており、細胞の外被部分の構造や内容物の分布はその特性を反映したものになっているようです。外被部分について言えば、母体となる花粉そのものは一般に複雑で多様な被壁に囲まれていますが、花粉管細胞の細胞壁もその特性を反映したものとなっているようです。

花粉管細胞に含まれる3つの核は構造的・機能的に違いがあることを意識して、核の観察に努められることをお勧めします。なお、1つの花粉から花粉管が2本発芽するものもあるとのこと、その場合に核の数や分布はどうなっているのでしょうかね(ランやアオイなど多数の例で複数本の花粉管の発芽が報告されているようです)。

本コーナーには花粉管に関する多数のQ/Aが登録されておりますので、ご覧ください(一例、登録番号2512


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-08
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