一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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玉ねぎの白い部分について

質問者:   自営業   りえ
登録番号4473   登録日:2019-07-11
普段食べている玉ねぎの白い部分は何だろうと思い、ネットで調べてみたら葉っぱの付け根と出てきました。
何故玉ねぎは葉っぱの付け根に薄皮まで作って何層にもして太らせているのですか?

お忙しいと思いますが、返信よろしくお願いします。
りえ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
タマネギを縦に半分に切った切り口をよく見ると分かりますが、膨らんでいる部分は何枚かの葉が重なっている部分です。下の方、根の出ている部分を見ると円錐状の構造が見えますが、これが茎です。この茎から出ている葉が貯蔵器官となって膨らんでいることが分かります。鱗茎と名付けられています。輪切りにするとオニオンリングで葉はリング状で、ふつうの葉とは違うように見えます。ネギでは長い葉が内側に丸まって、縁同士が融合して円筒状になります。ふつうの葉の表側がネギの円筒状の葉の内側に当たります。白ネギを見ると、外側にある葉の基部はまだ縁が融合していないで鞘状になっていますが、中にある葉は円筒状です。外側というのは茎の基部についている葉で、内側にある葉は茎の上部についている葉となります。
ご質問の「何故玉ねぎは葉っぱの付け根に薄皮まで作って何層にもして太らせているのですか?」に直接お答えすることは出来ませんが、タマネギの原種となる植物種が進化してから、人が育種栽培を重ねて現在の品種ができあがったもので、遺伝的に決まった形質です。タマネギの鱗茎は次世代のネギが成長するための栄養分を貯めているところです。貯蔵器官としての分化をした細胞の集まりです。薄皮は、葉の表皮です。何故(どんな仕組みで)膨らむかについてはたくさんの研究がありますが、分かっていることは、日長が長くなる(長日条件)と、葉の基部の葉肉細胞の成長方向(縦に伸びるか、横に膨らむか)を決める構造体(チューブリン)がなくなってしまうので、細胞は成長すると丸くなってしまい、その結果としてタマネギが玉状になると言うことです。これについては登録番号1191をご覧下さい。また、何故、細胞の成長方向を決める構造体がなくなってしまうのか、が次の疑問となります。鱗茎形成を促進する物質(植物ホルモン状の)と形成を抑制する物質のバランスが変化するからと推定されていますが、それらの物質群は確定されてはいません。これについては
https://division.csj.jp/div-report/07/0720102.pdf が参考になると思います。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-18
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