一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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花の大きさと実の大きさの関係

質問者:   一般   かっくん
登録番号4474   登録日:2019-07-13
小学2年生の子供からの質問です。
枝豆を育てていて、「他の野菜は綺麗なお花が咲いてから実がなるのに、枝豆はお花がないのに豆ができたね」と言うので、よく観察すると、とても小さな花が咲いていました。
質問
なぜ、豆の中でも枝豆だけがこんなに小さな花なのかな。
どの植物も花の大きさ目立ちやすさは実の大きさによって変わるのかな?それとも関係ないのかな?

という事を知りたい様です。
調べ方がわからず、こちらにお世話になりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
かっくん様

植物Q&A のコーナーを利用下さりありがとうございます。
小学2年生からの質問ということで、小学生にもわかるように易しく書きたかったのですが、難しくなってしまったようです。お母様に解説して頂いて下さい。わからないことがありましたら、ご連絡下さい。

多くの植物が、一つの花の中におしべとめしべの両方がある花をもっています。その花で種子や果実ができる場合、めしべと同じ花のおしべで作られた花粉がめしべに付いてできる場合と他から運ばれてきた花粉が付いてできる場合があります。花粉が他から来る場合は、虫や鳥が運んできたり、風にのってやってきたりします。
同じ花の中のめしべと花粉から種子が作られる場合の良い点は、花粉を確実に得られることですが、あまり良くない性質の植物が出てきやすいことや子孫がほとんど同じような性質の植物だけになってしまい、環境の変化に対応しにくくなるということなどが欠点です。一方、他から運ばれてきた花粉によって種子が作られる場合は、いろいろな性質の子孫の植物
がえられ、環境の変化に対応しやすくなる点は良い点ですが、昆虫などによって花粉を運んでもらわなければいけないので、運んでもらえるかどうかという心配なことがあります。花粉を運んでもらうために、色鮮やかな花弁をつくったり、香りを発散させたり、蜜を分泌したりして昆虫などを呼び寄せています。

種子をつくるのに用いる花粉を同じ花のものを使うか、他から運ばれてきたものを使うかは植物によって違いますが、一つの植物で両方を使うものもかなりあります。ダイズも両方を使う植物ですが、ほとんどが同じ花の花粉を使います。ダイズはツルマメという野生植物を、育てやすく、食糧として利用価値がたかくなるように改良して作られた栽培植物です。野外でツルマメは、場所によっては13 %の花が他から運ばれてきた花粉を用いているという例もありますが、ほとんどは同じ花のおしべの花粉を利用しているようです。自前の花粉を使うならば花粉を運ぶ昆虫などに来てもらう必要はありませんから、花も目立たないもので良いということになります。花弁を目立つようにしたり、香り成分や蜜をつくるのには、その材料や作るためのエネルギーが必要ですが、その必要もありません。ダイズはツルマメの目立たない花で子孫を残す性質を受け継いでいるのだろうと思います。

花の大きさと実の大きさの関係ですが、例えばダイズとエンドウを比較してみますと花の目立ちやすさはずいぶん違いますが、果実の大きさにはそれほど差はありません。サクラ、ウメ、モモの花の大きさはそれほど違いないのに、果実の大きさには大きな差があります。果実には水分を多く含んだものや、乾燥したものなどいろいろありますので、比較するのが難しいのですが、関係があるとは言えないように思います。

頂いた質問を見て、ダイズの花が目立たないことによく気が付きましたね。その観察も素晴らしいと思いますが、それがどうしてだろうと考えられたことにたいへん感心いたしました。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-17
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