植物Q&A

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植物の鋸歯について

質問者:   自営業   しみちゃん
登録番号4479   登録日:2019-07-14
人間年をとると丸くなると言いますが、植物も木が古くなると、鋸歯がなくなって丸くなるのは何故でしょうか?
ヒイラギの古木はほとんど無いです。
しみちゃん

みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
植物の分子/発生遺伝学分野の研究をされている、塚谷裕一博士(東京大学大学院理学系研究科教授)に回答をお願いしました。

【塚谷先生のご回答】
 ご指摘の通り、ヒイラギは老成してくると葉の縁の鋸歯の刺がなくなっていきます。植物の齢とか生理条件で葉の形が変化する現象を、異形葉性と言います。面白いことにヒイラギとセイヨウヒイラギは科が違うくらい縁が遠いのですが、ともに、若い木は刺がハッキリしていて、老成すると丸くなります。実は多くの植物が、多かれ少なかれ異形葉性を発揮します。モデル植物のシロイヌナズナでも、葉の形や大きさが徐々に変化していき、葉を構成する細胞もだんだん小さくなって数が増えていきます。ヒイラギの場合は、そうした変化が刺の有無につながっているのです。
 ではどういう仕組みなのでしょう?モデル植物のシロイヌナズナやトウモロコシを使った研究から、異形葉性はけっこう複雑な仕組みで制御されていることが分かっています。まず葉で光合成をすると、植物の体内に糖分が溜まります。日々、光合成をすればするほど、糖の合成が進みますので、植物はそれを感知して自分自身の体の熟成を感知します。そうすると異形葉性を制御する遺伝子の発現量が変化し、それの結果として葉の形や大きさが変わってくるというわけです。
 面白いことに、植物は体の一部からも再生したりするように、個体としてのあり方が動物よりも融通が利きます。そのため、上記の異形葉性も、植物の令だけで決まっているわけではなく、生理条件によって比較的容易に逆転します。例えばヒイラギの老木であっても、幹をばっさり切って新しい枝を出させると、その枝に付く葉はしばしば「若返り」して刺をつくります。
 身近な植物では他に、生け垣によく使うカイヅカイブキが顕著な異形葉性を示しますので、是非観察してみてください。これも幼木は針葉樹らしい尖った葉をつくりますが、成熟した木は鱗状の葉をつくります。ところが剪定をして枝を新たに出させると、すぐまた針葉樹的な葉をつくったりします。


塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2019-07-16
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