一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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切り葉(葉っぱ)の延命について

質問者:   一般   I・ T・ M
登録番号4487   登録日:2019-07-24
初めて質問させて頂きます。宜しくお願いします。
樹木や草から切り取った葉っぱは、すぐに萎れ変色します。
押し葉では生きたままの保存は出来ませんので、何か長持ちさせる良い方法がないか、ネット等で調べましたが見つかりませんでした。
そこで自分で方法を考え、確認実験をしてみました。
①確認実験方法・根拠
葉っぱをキッチンペーパーに載せてジップロック(食料保存袋)に入れ、キッチンペーパーに水を少しだけ垂らしてから完全密閉して直射日光の当たらない場所(常温)に置きます。
これは光合成と呼吸によって葉で生じた酸素やデンプン、糖、水、二酸化炭素等が、ジップロック内でリサイクルするので、密封後は水や空気を一切補給せずとも、光さえあれば葉は生き続けられるはず、という考えです。
②実験結果 
ばらつきはありますが、例えばアイビーは 約3~8カ月、あじさい、エゴマ、イチョウ、ハナミズキ、柿、かえでは長いものでは3カ月間も緑色を保ち生きました。
あじさいの葉には根までも生えてきました。
この方法により切り葉でも暫く生き続けられることが確認出来ました。
しかし、やがて劣化していくのは避けられません。
③質問
そこで質問ですが、化学薬品などを使用しない方法で、切り葉の寿命をより延ばす良い方法はないでしょうか。
I・ T・ M さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「押し葉では生きたままの保存は出来ませんので」とありますので、延命材のような薬剤を使わずに「切り取った葉を、生きたままの状態」で長く保存する方法を求めておられると推測しました。また、条件として直射日光に当てないが室内環境での光は照射されていると理解した上でのお答えです。しかし、「切り取った葉」を長く保存(?)しようとする試みはほとんどなく、切り枝での試みから推定すると、期待できるような方法はないと思います。「葉刺し」という栄養増殖方法の1つがあります。切り取った葉の葉柄、葉身を水あるいは鹿沼土などに刺しておき、葉柄あるいは葉身から直接発根を促す方法で、多肉植物の葉やその他限られた(経験的に分かった)植物で使われています。I.T.Mさんの実験でアジサイの葉が発根したのはその例と思われます。しかし、発根して新しい芽が発達すれば、最初の葉は役目を終えますからやがて枯死するでしょう。切り枝を水に刺して延命させる方法としては、枝を水切りする、切り口を消毒する、湯冷まし水に糖を少し加える(2~5%)方法がありますが、糖を加えない場合よりは長持ちすると言うだけです。どのくらい長くもつかは植物の種、温度、光条件、管理法(特に微生物の繁殖を抑制する)によって大きく変わります。
切り葉でも切り枝でも、切り出した時点で根からの栄養供給(無機塩類)が絶たれますから、仮に光合成活性が保持されても全体として、合成的活性が分解的活性よりも小さくなりやがては老化、枯死に至ります。延命剤やホルモン剤などは一時的には有効ですが合成/分解のバランスが合成側優勢にはなりません。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-30
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