一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ヤマユリ タンポポの花はなぜ地面近くまで下がるのでしょうか

質問者:   一般   くりちゃん
登録番号4488   登録日:2019-07-24
ヤマユリ、タンポポの花は開花後花径を地面近くまで下げているのがほとんどのように思えます。その後種子ができるとまた起き上がって種子を飛ばすようですが、花の時期に一度地面近くまで下がってくる理由についてご教示お願いいたします。
ヤマユリについては蛾により受粉するという記述を見たことがあるのですが、このことに関経があるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
くりちゃん様

植物Q&A のコーナーを利用下さりありがとうございます。
タンポポの花茎は、花(頭状花)が咲き終わった頃、地面近くまで倒伏したのち、ふたたび起き上がり成長します。その機構については、植物Q&Aの登録番号0763, 3156の回答に詳しく解説されておりますのでご覧になって下さい、当学会編集の「これでナットク! 植物の謎」(講談社ブルーバックス)にも掲載されています。併せてご覧下さい。但し、ご質問の“理由” は “どういう目的で” ということでしょうか?“どういう目的で” ということですと、上記の回答では、本コーナーの守備範囲ではないということで答えていません。”どのような機構で” ということに対する回答になっています。

ヤマユリの場合ですが、花が大きいので、その重さで倒伏するものが多いという記載はありますが、タンポポと同様な機構で倒伏するという記述は見つけることができませんでした。タンポポの場合は、花が咲く前に蕾を除くと倒伏が起こらず、蕾を除いたあと、花茎に高濃度のオーキシンを与えると倒伏がおこります。また、受粉後に花から花茎へのオーキシンの供給が増えます。このオーキシンが花茎の倒伏をおこすようで、受粉をさせないと倒伏がおきません。ヤマユリの場合、タンポポと同様な機構で倒伏がおきるとするなら、受粉が倒伏の原因ですから、すでに受粉がおきていることになり、スズメガによる受粉とは関係ないことになります。あくまで、ヤマユリの倒伏がタンポポと同じ機構で起きると仮定した推論にすぎません。倒伏が花の重さでおきるならその限りではありませんが、倒伏した花としない花でのスズメガによる受粉の違いに関する記述をみつけられませんでしたので、お答えできません。

なお、スズメガがヤマユリのポリネーターであることについては、登録番号2970 の回答に記載されています。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-08-01