質問者:
一般
I・T・M
登録番号4489
登録日:2019-07-25
質問よろしくお願いします。みんなのひろば
クローバーの切り葉(葉っぱ)の色が緑から白透明に変化
先に切り葉(葉っぱ)の延命を目的とした実験について質問させて頂きました。
その実験は葉っぱをキッチンペーパーに載せて、ジップロック(食料保存袋)に入れ、キッチンペーパーに水を少しだけ垂らしてから完全密閉し、直射日光の当たらない場所(常温)に置くと葉は長生き出来る筈、と考えて行なったものです。
その結果、効果が確認出来ました。(質問は 更なる延命策はないか尋ねたものでした。)
以下今回の質問に関することです。
その後、直射日光を当てた場合にはどうなるか知りたくなり、何種類かの葉に、他の条件は変えずに数日間直射日光を当てました。すると予想外の現象が見られました。
とりわけ、クローバーの切り葉は、葉の緑色が全て消え、白透明色に変わり驚きました。
通常クロロフィルを脱色させるには、エタノールなどの薬品を用いる以外無いと聞いています。
他の種類の切り葉も、茶色かそれに近い色に変わりましたが、白透明色にはなりませんでした。
そこで質問ですが、
(1)ジップロックに入れて直射日光を当てると、何故切り葉は容易に変色するのでしょうか。
(2)自然に生えている葉は直射日光を浴びても直ちには変色しないのは何故でしょうか。
(3)何故クローバーの葉だけが白透明色になったのでしょうか。
I・T・Mさん
植物の緑色の原因はクロロフィルですが、クロロフィルはタンパク質と結合して複合体を形成してチラコイド膜に局在し、比較的安定した状態にあります(登録番号3221)。しかし、常にクロロフィル分子はある速さで分解し、新たに合成されてくる分子と交代しています。複合体を形成するタンパク質も同様に分解、合成を繰り返していますが、不思議なことにクロロフィル分子の代謝回転の速さと結合しているタンパク質の代謝回転の早さは同じでなく、タンパク質の代謝回転の方が遙かに早いことが分かっています。これら両者の代謝回転が正常に作動している間は、組織は常に緑色を保っています。クロロフィル分子の生合成の終段階は光依存の反応ですから、十分な光が照射されないとクロロフィル合成は正常におこなわれません(但し、ある種の植物ではこの終段階が光に依存しない反応もありますが)。これがご質問(2)のお答えです。
(1)については、登録番号4487でも指摘しましたが、切り出した葉には必要な栄養供給がなく合成的代謝が低下する方向にかたよりはじめていることと、密閉された状態に直射日光が照射されたため葉の温度が異常に高くなったこととが相まって、葉の細胞が正常な代謝活性を保てなくなり、クロロフィルの生合成が低下、分解が促進された結果と思われます。
(3)の現象は、クローバー(シロツメクサ)の葉の構造に由来すると思われます。使用された他の葉と違って、葉自体の厚さも薄く、細胞壁は薄く、リグニン化された部分は少なく、表皮のクチクラも薄く葉全体の構造が柔らかく、単位面積当たりの葉緑素量も少ない(これは葉色からの推定ですが、したがってカロテン量も少ないはずです)ものです。このような組織からクロロフィルが分解されれば、他の着色成分が少ないので肉眼的に白く透明に見える結果となったのではないかと思われます。。
植物の緑色の原因はクロロフィルですが、クロロフィルはタンパク質と結合して複合体を形成してチラコイド膜に局在し、比較的安定した状態にあります(登録番号3221)。しかし、常にクロロフィル分子はある速さで分解し、新たに合成されてくる分子と交代しています。複合体を形成するタンパク質も同様に分解、合成を繰り返していますが、不思議なことにクロロフィル分子の代謝回転の速さと結合しているタンパク質の代謝回転の早さは同じでなく、タンパク質の代謝回転の方が遙かに早いことが分かっています。これら両者の代謝回転が正常に作動している間は、組織は常に緑色を保っています。クロロフィル分子の生合成の終段階は光依存の反応ですから、十分な光が照射されないとクロロフィル合成は正常におこなわれません(但し、ある種の植物ではこの終段階が光に依存しない反応もありますが)。これがご質問(2)のお答えです。
(1)については、登録番号4487でも指摘しましたが、切り出した葉には必要な栄養供給がなく合成的代謝が低下する方向にかたよりはじめていることと、密閉された状態に直射日光が照射されたため葉の温度が異常に高くなったこととが相まって、葉の細胞が正常な代謝活性を保てなくなり、クロロフィルの生合成が低下、分解が促進された結果と思われます。
(3)の現象は、クローバー(シロツメクサ)の葉の構造に由来すると思われます。使用された他の葉と違って、葉自体の厚さも薄く、細胞壁は薄く、リグニン化された部分は少なく、表皮のクチクラも薄く葉全体の構造が柔らかく、単位面積当たりの葉緑素量も少ない(これは葉色からの推定ですが、したがってカロテン量も少ないはずです)ものです。このような組織からクロロフィルが分解されれば、他の着色成分が少ないので肉眼的に白く透明に見える結果となったのではないかと思われます。。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-30