一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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白い竹

質問者:   中学生   理科が好きな中学生
登録番号4491   登録日:2019-07-28
自由研究で白い竹について調べたいと思っています。
白い竹はなぜできるのか、光合成しなくても枯れないでいられるのはどうしてでしょうか?
本で調べてみようと探してみましたが、資料がなくて困っています。
よろしくお願いします。

理科が好きな中学生さん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
白い竹というのは珍しいですね。私ほ見たことがありませんが、インターネットで検索すると、いくつか写真が載っていました。しかしこれらは、日本に一般的に生育している、モウソウチク、ハチク、マダケおよびそれらの変わり種のものではないようでした。理科が好きな中学生さんが調べようと思っている「白い竹」はどの種類のものでしょうか。また、白い部分はもちろん葉だと思いますが、中には稈(かん、茎)が白いものもあります。
さて、体が白い生物はアルビノと呼ばれていて、色素をつくる遺伝子の異常か欠損のために色素ができないためです。植物でもアルビノはよく見られます。植物のアルビノは葉緑素、カロテノノイドなどの光合成に関係する色素が全くないわけですから、種子から発芽しても、初めにもっていた栄養分を使い尽くすと、やがて枯死します。このような幼植物を人工栄養培地で育てることは不可能ではないかもしれませんが、そのような例があるかどうかはわかりません。竹の場合は少し事情が違います。特に日本の竹は一本一本独立して生育しているように見えますが、実は地下では根茎によってお互いに繋がっています。例えば、7千本もの竹が生えている竹林では、こういう根茎のつながりを持った竹の群生が、いくつか集まって地下の全体の根系は網の目のようになっており、その長さは5万メートルにもなるということです。そうすると、これらの竹の中で、一本がアルビノになると、その竹自体は自分で光合成により栄養分を作り出すことはできませんが、他の竹が作った光合成産物を根茎を通して供給してもらっているのかもしれません。そうだとすると、アルビノの竹の根茎を注意深く掘って、他の個体との接続を切断すると、枯れることになるでしょう。


勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-07-30
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