一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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オクラの葉っぱが大きいのはなぜ?

質問者:   小学生   かん
登録番号4492   登録日:2019-07-29
私は今、丸さやオクラを初めて育てています。
成長するにつれて、葉がとても大きくなったことにびっくりしました。
トマトやイチゴの葉はそれほど大きくないのに、オクラの葉はなぜこんなに大きいのですか?
かん様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
ふつう当たり前のこととして見過ごしてしまうことに、ビックリ して、どうしてだろうと疑問に思った新鮮な気持がすてきだと思いました。
回答は葉の形造りについて素晴らしい研究をされています塚谷裕一先生にお願いしました。

【塚谷先生の回答】

かん君

質問をありがとうございます。オクラ、たしかにイチゴやトマトより大きいですね。この時期の身近なものとしては、ヒマワリも大きくないですか?葉の大きさは、それこそ千差万別で、どういうときは小さい、どういうときは大きい、というのがむつかしいくらいいろいろなのですが、今出てきた4種類だけで言えば、一つ事情があります。それは、オクラもヒマワリも茎が太くまっすぐで、地面から直立していることです。こういう暮らし方をする植物は、上からさす太陽の光を独り占めして暮らすタイプであることが多いので、陣地取りをがんばります。つまり、自分の葉を大きく広げて、ほかの植物が光に当たりたくても、葉の影になってしまって困るような状況にするのです。

一方、イチゴの葉は地面ぎりぎりですし、トマトはついつい斜めになってほかの植物によっかかる感じになりますよね。ああいう場合は、ちょっと違います。イチゴは日当たりのいい斜面などに生えて、ほかの植物の影にならない土地柄を選んで暮らしていますし、トマトは茂みに寄りかかりながらその表に出て光を浴びます。だからそれほど葉を大きくしないで済んでいるのでしょう。

葉を大きく作るには、それなりにコストがかかって、頑張らないといけませんから、その努力に見合う状況でないとうまくいかないところがあります。ヒマワリやオクラは、そこを頑張ってほかの植物との競争に競り勝つタイプの植物なのでしょう。

しかし世の中いろいろ見渡すと、葉の大きさは本当にいろいろです。大きい事情も小さい事情も様々です。一つの理由だけで説明するのはむつかしいですね。

ちなみに室内で観葉植物として育てるポトスなども、部屋の中でちんまり育てていると手のひらより小さな葉しかつけませんが、沖縄や熱帯地域など温かい土地で、日当たりのいい野外に植えるととても大きくなって、40センチを優に超える巨大な葉を作るようになります。事情が許せば植物は、葉をできるだけ大きくしてみたいのだろうな、と思わせる風景です。今度機会があれば、そういう様子も観察してみてください。

  
塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2019-08-12
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