質問者:
自営業
グレパゲ
登録番号4499
登録日:2019-08-07
朝顔の茎を観察していたら、上半分が赤茶色になっていて、下半分は、緑色のままでした。また、葉は、下半分の緑色の所から出ている物が多かったです。朝顔の茎
赤茶色の部分は、新しく葉が生えてくる先の方には殆どなく、葉がきちんと開いている部分より下の茎にはありました。
疑問点として、
①なぜ茎は、赤茶色の部分と、緑色の部分の上下に分かれるのか?
②葉がつぼんでいる近辺の茎には、赤茶色の部分がないのはなぜか?葉の開き方、葉の光合成などと、関係があるのか?
③朝顔には、成長ホルモンの「オーキシン」があるそうだ。「オーキシン」が緑色の部分に多く分布しているのか?
緑色の部分にオーキシンが多いから、葉は、緑色の部分から生えて、上むきに方向を変えられるのか?
④赤茶色の部分は、なぜできるのか?
①~④について、教えてください。
グレパゲ様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。 ご質問の記述からは具体的な形態のイメージがはっきりとつかめません。「茎」と言われている部分はアサガオの主軸あるいは枝軸の全体のことなのか、葉と葉との間、つまり節間(せっかん)単位でのことを指しているのでしょうか。茎は節間のつながりであり、節ごとに葉が付いています。茎の「上半分と下半分」はどこを指すのでしょうか。各節間の上半分と下半分、あるいは葉が付いている部分(節:せつ)を中心にしてその上の部分と下の部分、あるいは茎軸全体(植物の背丈)の上部半分と下部半分なのか。つまり、赤い部分が茎軸のどの部分にあるのかがわかりません。葉が「つぼんでる」というのは、開葉していない若い葉ということでしょうね。また、観察されたアサガオの個体についての現象は、他のアサガオの個体でも共通して見られることでしょうか。ちなみにアサガオの芽生え(双葉)の茎(胚軸)は赤紫色をしていることがよくありますね。
まず、一般論的なことを述べさせていただきます。すべての種子植物の主軸にも副軸(枝)にも茎頂があり、そこでは絶えず細胞が増殖されています(茎頂分裂組織)、新しく作られた細胞は下方へと押しやられ、一つ一つが拡大(主に伸長)して最終的には表皮、皮層、維管束などの細胞に分化していまいます。その過程で、茎頂の周囲には将来葉となる原基(葉原基)を、種によって定まった間隔と位置で分化していきます。葉原基は下方へいくにしたがって成長し、やがて本葉として展開します。一つの葉原基と次の葉原基の間が節間となり、全体の茎を作っていきます。節間はあるところまで伸長すると伸長は止まります。したがって、節間は茎の下位の部分(基部に近い部分)ほど加齢していることになります。また、それぞれの節間についても、茎の上部(茎頂)に近いと節のすぐ下の部分はまだ成長(伸長)を続けています。茎が赤くなるのはおそらくアントシアニンが形成されるからでしょう。アントシアニンは多くの赤〜紫色の花の色素ですが、他の植物でも茎でアントシアニンが作られるのは珍しいことではありません。アントシアニンついてはたくさんの質問回答が本コーナーに掲載されていますので「アントシアニン」で検索して参考にしてください。
さて、最初に書いた疑問点がはっきりしないと的確な回答はできませんが、一応質問に沿って考えてみましょう。まず。第一の質問は、赤色の部分の上下関係がはっきりしないので、なんとも答えられません。もし、色の付いている部分が若くない部分だとすると、紅葉のように、組織の老化によってクロロフィルが分解され、アントシアニンが新しく合成されたからかもしれません。二番目の質問は、もし若い葉のことを言っているのなら、前述の葉のでき方の説明からわかるように、若い葉は若い茎の組織についているからです。葉が成長し展開するにはエネルギーがいりますから、当然周囲の一人前になった葉や自身の光合成活動が必要でしょう。三番目の質問。植物ホルモンのオーキシンはどの植物にもあります。オーキシンは一般に若い組織で合成されます。緑色の多い少ないとは関係ありません。また、「葉は緑色の多い部分から生える」という理解は無意味です。ただ、葉が茎から水平に突き出ていたのが、上向きになって行く時は、葉柄の下側と上側とで成長速度に歪みができた結果と考えられます。その場合は細胞伸長を促進するオーキシンが下側の方に多く移動したのかもしれません。最後の質問。アントシアニンがなぜできるのかということです。植物におけるアントシアニン色素の働きについては、登録番号3717, 4442などをご覧になってください。しかし、アサガオの茎においてどんな働きをしているかは定かではありません。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。 ご質問の記述からは具体的な形態のイメージがはっきりとつかめません。「茎」と言われている部分はアサガオの主軸あるいは枝軸の全体のことなのか、葉と葉との間、つまり節間(せっかん)単位でのことを指しているのでしょうか。茎は節間のつながりであり、節ごとに葉が付いています。茎の「上半分と下半分」はどこを指すのでしょうか。各節間の上半分と下半分、あるいは葉が付いている部分(節:せつ)を中心にしてその上の部分と下の部分、あるいは茎軸全体(植物の背丈)の上部半分と下部半分なのか。つまり、赤い部分が茎軸のどの部分にあるのかがわかりません。葉が「つぼんでる」というのは、開葉していない若い葉ということでしょうね。また、観察されたアサガオの個体についての現象は、他のアサガオの個体でも共通して見られることでしょうか。ちなみにアサガオの芽生え(双葉)の茎(胚軸)は赤紫色をしていることがよくありますね。
まず、一般論的なことを述べさせていただきます。すべての種子植物の主軸にも副軸(枝)にも茎頂があり、そこでは絶えず細胞が増殖されています(茎頂分裂組織)、新しく作られた細胞は下方へと押しやられ、一つ一つが拡大(主に伸長)して最終的には表皮、皮層、維管束などの細胞に分化していまいます。その過程で、茎頂の周囲には将来葉となる原基(葉原基)を、種によって定まった間隔と位置で分化していきます。葉原基は下方へいくにしたがって成長し、やがて本葉として展開します。一つの葉原基と次の葉原基の間が節間となり、全体の茎を作っていきます。節間はあるところまで伸長すると伸長は止まります。したがって、節間は茎の下位の部分(基部に近い部分)ほど加齢していることになります。また、それぞれの節間についても、茎の上部(茎頂)に近いと節のすぐ下の部分はまだ成長(伸長)を続けています。茎が赤くなるのはおそらくアントシアニンが形成されるからでしょう。アントシアニンは多くの赤〜紫色の花の色素ですが、他の植物でも茎でアントシアニンが作られるのは珍しいことではありません。アントシアニンついてはたくさんの質問回答が本コーナーに掲載されていますので「アントシアニン」で検索して参考にしてください。
さて、最初に書いた疑問点がはっきりしないと的確な回答はできませんが、一応質問に沿って考えてみましょう。まず。第一の質問は、赤色の部分の上下関係がはっきりしないので、なんとも答えられません。もし、色の付いている部分が若くない部分だとすると、紅葉のように、組織の老化によってクロロフィルが分解され、アントシアニンが新しく合成されたからかもしれません。二番目の質問は、もし若い葉のことを言っているのなら、前述の葉のでき方の説明からわかるように、若い葉は若い茎の組織についているからです。葉が成長し展開するにはエネルギーがいりますから、当然周囲の一人前になった葉や自身の光合成活動が必要でしょう。三番目の質問。植物ホルモンのオーキシンはどの植物にもあります。オーキシンは一般に若い組織で合成されます。緑色の多い少ないとは関係ありません。また、「葉は緑色の多い部分から生える」という理解は無意味です。ただ、葉が茎から水平に突き出ていたのが、上向きになって行く時は、葉柄の下側と上側とで成長速度に歪みができた結果と考えられます。その場合は細胞伸長を促進するオーキシンが下側の方に多く移動したのかもしれません。最後の質問。アントシアニンがなぜできるのかということです。植物におけるアントシアニン色素の働きについては、登録番号3717, 4442などをご覧になってください。しかし、アサガオの茎においてどんな働きをしているかは定かではありません。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-08-08