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屋久杉の樹齢が長いのはなぜですか?

質問者:   小学生   SS
登録番号4506   登録日:2019-08-11
この夏、ぼくは家族と屋久島に行きます。
屋久島には、他の地域よりも樹齢が長い屋久杉という杉があって、2000年を越えるものもあると知り、興味を持ったからです。

屋久杉についての本やインターネットのページを見たら、その多くに屋久杉は樹脂が普通の杉の6倍も多いために長寿である、と書いてありました。

屋久杉が長寿な理由は樹脂の量が多いからでしょうか?
樹脂が多いとなぜ長寿になるのでしょうか?
なぜ屋久杉の樹脂の量は多いのでしょうか?
SS様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

屋久島にはもう行かれたのでしょうか?屋久杉に興味を持たれたとのことですが、実際に見てみてどうでしたか?また新たな疑問が浮かんだのではないでしょうか。実際に見てみることは大事ですね。私も屋久島に興味があって数回訪れたことがあります。
屋久島は花崗岩からできている島です。花崗岩が風化すると、砕けて土壌になりますが、花崗岩には、植物の成長に必要な一部の物質があまり含まれていませんので、それから生じた土壌も貧栄養の酸性土壌になります。また、砕けたときに粘土質のものがふくまれますので、水はけが悪く、吸水もしにくくなります。このように厳しい環境ですのでゆっくり成長し、幹は硬く、病虫害に強く、長生きします。年輪は1年に1輪づつ増えていきますが、屋久杉の年輪と年輪の間隔は、成長の早い杉のものよりはるかに狭くなっており、成長がゆっくりなことがわかります。樹木に決まった寿命はありませんが、長生きするにはゆっくり成長することが大事なようです。
それでは樹脂は関係ないのかというと、そういうことではありません。人間が傷を受けるとかさぶたができるように、樹木の表面が傷を受けたとき、樹脂には傷口を塞ぎ菌の侵入を防ぐ働きがあります。また、樹木が生存し、成長していくためには水は絶対に必要なものです。根で吸収された水は樹木の表面近くに新たにつくられた水の通路がつかわれます。樹木の中心部分には、はたらきを失った古い水の通路などがあります。古い組織ですので腐朽菌などによって感染することがありますが、樹脂には腐朽が表面の水の移動に働いている部分に広がるのを防ぐバリアーになるはたらきがあります。屋久島で、腐朽が進んで、空洞ができているのに生きている屋久杉も見ることができたのではないかと思いますが、表面近くの部分が腐朽していなければ生きていけることを示しています。雨が多い屋久島では、腐朽菌には好適な環境です。腐朽が樹木の表面近くの、水の移動に働いている部分に広がるのを防ぐことによって、樹木の長生きに貢献していると言えるでしょう。それでは、なぜ屋久杉に樹脂が多いのかという問題ですが、長い屋久杉の進化の過程で、屋久島の環境下で、樹脂の量が多い方が生き残るために有利だったためではないかと思います。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-08-23
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