一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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低温での穀類種子の発芽

質問者:   その他   石野 大輔
登録番号0452   登録日:2005-12-31
発芽玄米を自分で作るにはどうすればよいかについて調べていました。

低温(5℃)で24時間〜48時間、吸水させると、発芽玄米が作れるという<低温発芽法>というものがありました。
ただ発芽させるためには、温度が低すぎると思うのです。
見た目もほとんど変わらないのですが、成分は変化していると云います。

5℃の低温でも発芽やそのための酵素の活動は可能でしょうか?
石野 大輔 様

種子の発芽には適温と吸水が必要です。「種子発芽と水との関係」は質問コーナーの昨年の回答(登録番号0290)をお読み下さい。
種子の発芽温度は植物の種類により異なります。いくつかの例を挙げておきます。

植物名   最低温度  最適温度  最高温度 ℃
セロリー   0〜4     15〜20     30
キャベツ   2〜3     25        35
コムギ    3〜5     15〜30     30〜37
イネ      10〜12    30〜37     40〜42
キュウリ   16〜19     31〜37     44〜50

小西国義著 「植物の生長と発育」養賢堂 1982 から

これからも分かるように種子が発芽するためにはそれぞれある温度以上ある温度以下でないとだめなのです。イネは5℃では発芽(胚の生長開始)しません。
適切な温度が必要なのは、種子の中の貯蔵養分の分解などの生化学反応に酵素の働きが可能になるためです。イネ(玄米)の種子を5℃で1〜2日級水させてた場合、全く生化学的変化が起きていないとはいえないでしょうが、その組成に顕著な変化があるとは考えられません。

JSPPサイエンスアドバイザー
 勝見 允行
回答日:2006-01-10