植物Q&A

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葉を乾燥させると表を内側にクルッと巻く

質問者:   その他   中学生R
登録番号4524   登録日:2019-08-28
 中学生のRの保護者です。Rが夏休み自由研究で行った実験の結果で、理由を知りたくなり、保護者が質問しています。よろしくお願いします。
 道端で拾ってきた葉をいろんな条件で乾燥させて、どのような経時変化があるか、という観察していました。数日間乾燥させた葉は、表を内側にクルッと巻いた状態になりました。どうして、内側にクルッと巻いた状態になるのでしょうか。
 葉の表と裏で細胞の構造が違うのだと思いますが、一般的な書籍には、葉の表と裏では葉緑体の濃さが違うという記述は見つけたのみで、質問の答えになるようなことは見つけられませんでした。乾燥によって、水分のより多い表側の細胞が裏側の細胞より小さくなった、と考えました。細胞壁の構造などの違いが影響していると思いますが、このあたりのことは現在はどれくらいのことがわかっているのでしょうか。実験に用いた植物を図鑑で調べるとマメ科のアレチヌスビトハギ(くっつきむし)のようです。
中学生R 様

植物Q&A を利用下さりありがとうございます。
確かに葉を乾燥させると表側を内側にして巻く理由について説明している本は見当たりませんね。そこで、庭や畑や路傍の木や草で、枯れ葉や落ち葉がどの様になっているか観察してみました。植物によって、ご質問にあるように葉の表側が内側になるように巻くもの、巻かないもの、葉の裏側が内側になるように巻くもの、葉がねじれるようになるものの4種類ありました。近くにあった植物で観察しただけで、系統的に選んで調べたわけではありませんが、例としてまとめてみますと、アレチヌスビトハギのように
葉の表側が内側になるように巻くもの:ナス、トマトの小葉、トウガラシ、サトイモ、オクラ、シソ、スイフヨウ、ドクダミ、ケヤキ
巻かないもの:ウバメガシ、アラカシ、シャリンバイ、タブノキ、オリーブ
葉の裏側が内側になるように巻くもの: ツバキ、ツワブキ
葉がねじれるようになるもの:ノカンゾウ、ニラ
となりました。

これらの例をもとに、どうして植物によって枯れ葉の巻き方が違うのかを考えてみました。葉の表面が内側になるように巻くものは、比較的柔らかいものが多いようです。葉の葉脈を見てみますと、表側より裏側に飛び出ており、網目状に枝分かれしてしています。葉脈は維管束で、水や養分の通路ですが、その中の道管、仮道管、木部繊維などは肥厚した細胞壁にリグニンが沈着するなどして機械的強度を増すはたらきもしています。乾燥によって水分が失われていくと葉は縮んでいきますが、裏側の網目状の維管束によって縮み方が表側に比べて抑えられます。そのため、表側がより早く縮みますので、表側が内側になるような巻き方をするのではと考えます。枯葉が巻かないものは、照葉樹林や硬葉樹林の樹木の葉に見られました。これらの樹木は乾燥に強い植物で、含水量が低く、厚膜細胞、厚角細胞、繊維細胞などが発達した硬く強固な葉持っていることから、葉は乾燥しても巻きにくいと考えます。また、ツバキやツワブキは表側の表面が硬く、光沢があります。それはクチクラ層といって、表皮の外側にクチン(脂肪酸の重合した化合物)に蠟が浸透してできた層がありますが、それが非常に発達していることによります。葉の強度を増すとともに水分の逃げるのを抑えるはたらきをしています。表側の強度の増加とともに水分が裏側に比べて失いにくいために、これらの植物の葉は裏側が内側になるように巻くと考えます。ノカンゾウやニラは乾燥するとねじれるようになりますが、これは場所によって巻く方向が異なることによります。これらの植物は単子葉植物で、葉脈は平行脈です。網目状のもののように抑えるはたらきがないため偶然によって、裏側が内側になるように巻いたり、外側になるよにまいたりする結果だろうと考えます。

以上の考えは推論です。この考えが本当に正しいかどうかは証明しなければいけません。どうしたらいいかは考えてみて下さい。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-09-05
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