一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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キンモクセイが一斉に香ることについて

質問者:   高校生   かつ
登録番号4535   登録日:2019-09-18
近所のキンモクセイは、いつも一斉に香りはじめると感じています。
日本には挿し木で増やした雄株しかないとのことですが、近くにあるキンモクセイが、一斉に咲いて香るのは、ソメイヨシノがいわゆるクローンで、その土地でほぼ同時に開花することと同じことなのでしょうか。
かつ様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
サクラのソメイヨシノは種子をほとんど作らないので、全国に植栽されているソメイヨシノは原木から接ぎ木で増やされたクローンと考えられます。実際、全国からソメイヨシノのサンプルを集め、DNAを用いた解析でクローンであることが確かめられています。日本にあるキンモクセイは雄株だけですので種子を作りません。DNAを使った解析がされているかどうかは知りませんが、増殖は挿し木によって行われますのでクローンであると考えて問題ないと思われます。植物の開花は温度や日長など環境要因に反応しておこりますが、クローンは同じ性質を持っているわけですから、ある地域の環境条件の変化に、そこに生育するクローンは同じように反応して、一斉に開花することになります。ソメイヨシノは2月初め以降の積算温度が重要なようで、積算温度から開花日を予想するためのいくつかの方法が考えられ、実際に用いられています。暖かい地域が早く開花しますので、条件が満たされた地域が九州から北海道に向かって徐々に進んでいくのに伴い、桜前線が移動していくことになります。キンモクセイの場合にはソメイヨシノとは逆に早く寒くなる東北(北海道は成育できない)から九州に向かって、キンモクセイ前線ともいえる開花地域の移動がみられます。キンモクセイの場合も温度が重要な要因と思われますが、高温が続くと開花時期が遅れることからも支持されます。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-03
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