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優性の法則について

質問者:   教員   柴松
登録番号4538   登録日:2019-09-19
以前、お寺に「アメリカジャスミン」の花が咲いていました。この花の色は紫色や白色で綺麗で、お寺にも合うなと思いました。花の色が気になり、ネットで調べてみると、開花時は紫色でだんだんと紫色が抜けて白色になるとありました。
ここで、ふとメンデルの優性の法則のことを思い出し、紫色と白色のどちらが表現型として優性なのかと思いました。
おそらく紫色の色素を作る酵素の遺伝子発現がだんだんと抑えられ、紫色の色素が分解されていくと考えます。
質問としては、紫色と白色のどちらが優性なのか、それとも両方と捉えるべきなのかを教えていただきたいです。

よろしくお願いいたします。
柴松 さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物色素の中に「白色色素」はありません。葉の一部や花弁が白色に見えるのは、その部分にクロロフィル、アントシアニンやカロテンなど濃色の色素が多量になく、組織内にたくさんある細かい空洞(気泡)に光が反射するためです。色素があることは色素を合成する酵素系がある(働いている)ためであり、酵素(タンパク質)は遺伝子によって規定されていますので、「色素がある=合成遺伝子が発現している」、「色素がない、白色である=色素合成遺伝子がないか、あっても発現していない」こととなります。「ある遺伝子が発現している」ことはその遺伝子で決められる形質が、メンデルの言う優勢形質に対応します。ヘテロな対立遺伝子では、劣勢遺伝子は発現していない、と理解されています。アメリカジャスミンの花色の場合、「紫遺伝子」は優勢ですが、生合成が停止し(優性遺伝子が劣勢になったのではなく、発現調節によって働きが抑制されたもの)、分解系が動き出したので表現形質(花色)が紫から白へ変化したものです。紫という表現形質は優勢と見るべきでしょう。
ついでに、アメリカジャスミン(ニオイバンマツリ、ナス科 Brunfelsia latifolia)の花色素の実体を調べたところ、色素はアントシアニンでこれが日を経るにつれ分解するためとの研究報告がありました。花を切り取って常温におくと脱色が促進されることが分かり実験系として利用されているようです。しかし、どのような過程で分解するかについては、ポリフェノールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコシダーゼが関与していると推定されるといった程度で詳しい仕組みは分かっていないようです。アントシアニン色素の分解系の研究が意外と少ないことに驚いています。



今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-09-30
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