一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物の酸に対する耐性の差

質問者:   高校生   プリンキピア
登録番号4541   登録日:2019-09-24
異なる植物の葉を酢につけ、変化が出るまでの時間をそれぞれ調べてみました。すると、クールミントの葉だけ明らかに変色するまでに時間がかかりました。
これは酸に対する耐性の差だと思うのですが、この差はなぜ生まれるのでしょうか。
いくら調べてみても、ミントは生命力が強い、ということしかわかりません。
なにがクールミントの生命力の要因なのかが知りたいです。
よろしくお願いします。
プリンキピアさん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。
植物はいろいろな生育環境の要因に対して適切な対応手段を備えています。負の要因に対してはそれを克服する手段を備えていたり、あるいは必要に応じてその機能を発現したりします。あなたが、調べようとしたのは酸性に対する植物の対応が、植物の種類によってどう異なるのかということでしょうか。そして、なぜそうなるのかということも。大変興味ある疑問だと思います。しかし、それを確かめる実験としてはこの方法は疑問だらけです。それに質問の内容だけではなんとも答えられません。実験の基本的なことが説明されていないからです。
1)使った植物の種類は? 葉をどっぷり酢につけたのなら、葉の種類によって、酢が葉の組織内へ取り込まれ易いやすかどうかには大きな違いがあります。例えば、厚いクチクラ層があると液体の浸透は起きにくいです。 
2)若い葉?それとも加齢が進んでいる葉? 葉の年齢やサンプリングした時の葉の生理条件が大きく影響します。できるだけ同じ条件で揃えることが必要です。
3)酢の種類は? 食用酢にも製造元によって、含まれているは成分が異なります。
4)処理の仕方は? 例えば、1枚ごと別の容器に入れたのか? 酢は毎日交換したか?など 
5)どのように観察をしたのか?変化の基準は? 
6)対照は何をとったのか? 何種類かの葉をサンプリングして、ただ酢の中につけて、どれが早く変色するか/どれが長く元の色を保つかということ見ただけでは、それぞれの葉の適切な酢への反応を知ることはできません。それぞれの葉を別々に水(対照)と酢につけて、時間経過に沿った色の変化を比較して見る必要があります。もし、ミント以外の植物の葉の色の変化が例え早かったとしても、対照の変化も酢と同じ時期に起きたとすれば、酢の影響はなかったことになります。また、クールミントがの変色に時間がかかるとしても、水の中でも同じくらいの時間で変色すれば、酢の影響はないことになります。ただたまたま使用したクールミントは他の葉より長く変色しなかったということだけです。
7)また、実験では1枚の葉だけで観察しているのではないでと思います。 何枚(何セット)で観察しましたか?

植物の耐酸性は研究は栽培/生育土壌の問題として行われています。葉に直接酸を与えることで耐酸性の問題になるかどうかはわかりません。もし、上記の諸点がクリアされているのでしたら、おしらせください。そうでないのならば、これらの諸点を踏まえて、もう一度実験をしてみてください。



勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-13
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