一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トケイソウの雌しべの数

質問者:   会社員   チャン
登録番号4549   登録日:2019-10-06
ベランダに植えているトケイソウの一つに雌しべが4本ついています(雄しべは5本)。これは突然変異ですか?
チャン様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
植物の花を構成する萼、花弁、雄しべ、雌しべは、それぞれ葉が変形したものと考えられています。雌しべは下部の、胚珠を包んでいる部分(子房)、花粉を受取る先端部分〈柱頭〉、子房と柱頭をつなぎ、発芽した花粉の花粉管が通る部分(花糸)、からできています。

トケイソウの花には、3枚の心皮(葉の変形したもの)がそれぞれ縁で融合してできた一室の子房、それぞれの心皮から伸びだした3本の花糸、それぞれの花糸の先端にある3つの柱頭からできた一本の雌しべがあります。花糸が3本に分かれ、3つの柱頭がありますので、雌しべが3本あるように見えてしまいます。ご質問の「雌しべが4本」というのは、多分「柱頭が4つ」ということを指しているのではないかと思います。その前提で回答を考えました。

花を構成する器官(萼片、花弁、雄しべ、雌しべ)の数は植物によって決まっていますが、時折、数が変化した花が生じます。その原因には遺伝子の突然変異もありますが、遺伝子の変異を伴わないものもあります。詳しい説明が雄しべに関しては植物Q&Aの登録番号4414に、萼片に関しては登録番号3781に、花弁については登録番号0675, 2994, 3787にありますのでご覧になって下さい。

トケイソウの柱頭の数の変化についての記載は知りませんが、子房を構成する心皮の数の変化だろうと思います。心皮の数が増えれば柱頭の数も増えると考えられます。心皮は萼片、花弁、雄しべと同様に葉の変形したものですので、それらの数の変化と同様なことがおきる可能性があると考えました。すなはち、ひとつは質問内容にありますように突然変異が起きている可能性です。もう一つは環境要因の影響を受けて、花芽で雌しべが分化する領域が広くなった可能性です。領域が広くなると数が増える傾向があることが知られています。どちらにしても検証が必要ですので、可能性に留まります。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-22
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