質問者:
高校生
やまかん
登録番号4550
登録日:2019-10-06
高校での研究でオジギソウの研究をすることになりました。みんなのひろば
オジギソウの記憶について
そこで調べていくうちにオーストラリア大学のオジギソウの記憶について調べた、興味を惹かれる論文を見つけました。その論文内ではオジギソウに何度も水を落とすことで水を有害なものでないとして葉の屈折運動に変化が起こるというものでした。
そこで僕もオジギソウの記憶について研究しようと思っているのですが、もし本当にオジギソウが記憶しているとするのであれば知能のない植物において記憶というものはあり得るのでしょうか?
また植物は水による刺激だと判断ができるのでしょうか?
よろしければ回答をお願いいたします。
やまかん さん
みんなのひろば 植物Q&Aコーナーのご利用ありがとうございます。
ネットを通して調べたとのこと、残念ながらセンセーショナルな表現に惹かれたのか、調べが十分ではなかったようです。やまかん君と同じように考えて調べた高校生のグループがありました。
http://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/h27/153098.pdf
これをまずよく読んでください。ネット情報は真偽さまざまですが、このグループはきちんと調べて、どれが本当の情報かを見極めたようです。念のため付け加えておきますが、質問に「その論文内ではオジギソウに何度も水を落とすことで・・・・」と言う記載がありますが、原論文は水などを落とす実験研究ではありません。
「植物に記憶があるか」は難しい問題です。類似の質問が登録番号2865にあります。
人の高度の心的機能されている記憶、認知、選択、会話(情報交換)、知性などが植物にもあるかについては専門家の間で近年多くの議論があります。植物は光(波長、強さ、方向、周期性)、水分(乾湿、湿度勾配)、重力、接触、物理的傷害、生物的侵害などの環境状況を「感知」して形態的、生理的状態を変化させています。植物は個体間や病原あるいは共生微生物との間で情報交換をしています。また、同一個体内でも1枚の葉が病害微生物に感染するか食害昆虫の食害を受けたとき、未感染、未食害の葉に信号を送って健全な葉や茎が抵抗性を示すようになります(免疫に似ています)。このような例を挙げだしたら切りがありませんが、これら植物の環境応答行動は、脳・神経系が発達している動物の行動と「似ている」「相当する」と捉え、動物生理学や心理学で用いられている記憶、免疫、感覚や知性といった用語で説明しようとする動きがあります。Plant Neurobiology(植物の神経生物学)といった領域があるとする動きです。一方、この動きに対して、動物と植物の構造の違い、環境応答反応の仕組みの違い、ときには結果の処理、解釈の違いを指摘して、そのような無理な説明をする必要はないとする研究者が多くあるのが現状です。植物を擬人化して観察結果を解釈、説明するのは現段階では適当とは思われません。
最後の質問「また植物は水による刺激だと判断ができるのでしょうか?」
自然に生育する植物は風に吹かれ、雨に当たり、動物に触られています。これらはみな機械的刺激(接触)として圧力センサーが感知するもので水とか風といった機械刺激の種類を特定していないようです。
みんなのひろば 植物Q&Aコーナーのご利用ありがとうございます。
ネットを通して調べたとのこと、残念ながらセンセーショナルな表現に惹かれたのか、調べが十分ではなかったようです。やまかん君と同じように考えて調べた高校生のグループがありました。
http://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/h27/153098.pdf
これをまずよく読んでください。ネット情報は真偽さまざまですが、このグループはきちんと調べて、どれが本当の情報かを見極めたようです。念のため付け加えておきますが、質問に「その論文内ではオジギソウに何度も水を落とすことで・・・・」と言う記載がありますが、原論文は水などを落とす実験研究ではありません。
「植物に記憶があるか」は難しい問題です。類似の質問が登録番号2865にあります。
人の高度の心的機能されている記憶、認知、選択、会話(情報交換)、知性などが植物にもあるかについては専門家の間で近年多くの議論があります。植物は光(波長、強さ、方向、周期性)、水分(乾湿、湿度勾配)、重力、接触、物理的傷害、生物的侵害などの環境状況を「感知」して形態的、生理的状態を変化させています。植物は個体間や病原あるいは共生微生物との間で情報交換をしています。また、同一個体内でも1枚の葉が病害微生物に感染するか食害昆虫の食害を受けたとき、未感染、未食害の葉に信号を送って健全な葉や茎が抵抗性を示すようになります(免疫に似ています)。このような例を挙げだしたら切りがありませんが、これら植物の環境応答行動は、脳・神経系が発達している動物の行動と「似ている」「相当する」と捉え、動物生理学や心理学で用いられている記憶、免疫、感覚や知性といった用語で説明しようとする動きがあります。Plant Neurobiology(植物の神経生物学)といった領域があるとする動きです。一方、この動きに対して、動物と植物の構造の違い、環境応答反応の仕組みの違い、ときには結果の処理、解釈の違いを指摘して、そのような無理な説明をする必要はないとする研究者が多くあるのが現状です。植物を擬人化して観察結果を解釈、説明するのは現段階では適当とは思われません。
最後の質問「また植物は水による刺激だと判断ができるのでしょうか?」
自然に生育する植物は風に吹かれ、雨に当たり、動物に触られています。これらはみな機械的刺激(接触)として圧力センサーが感知するもので水とか風といった機械刺激の種類を特定していないようです。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-24