一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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パイナップルのクラウン

質問者:   会社員   sssss
登録番号4564   登録日:2019-10-22
パイナップルはクラウンを土に挿すことで増やす事が出来ます。
野生ではこのクラウンはどのように役に立っているのでしょうか?実が倒れてクラウンが自然と土に触れて増えることはあるのでしょうか?
sssss様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。 パイナップルは果実の上部のクラウン(王冠)を切り取って、繁殖に用います。クラウンは果実の上部にできた幼植物体ですので、それを果実から引き剥がして基部を適切な培地に置けば基部から不定根が形成され、植物体は育ちます。
しかし、パイナップルの繁殖方法はそれだけでなく、他の仕方でも行われます。果実の基部の茎からスリップ(slip)と呼ばれる葉条(shoot)ができます。葉と葉の間にサッカー(sucker)と呼ばれる同様のシュートが作られます。これは腋芽に相当します。
また、植物体の切り株から新芽が出てきます(ratoon).これらのシュートや新芽はクラウンと同じように、植え付けて育てることができます。もちろん種子もできますので、種子による繁殖もできます。面白いことに、普通のパイナップルや多くの野生のパイナップルの送粉者(ポリネーター)はハミングバードです。一部の野生のパイナップルでは夜受粉が行われ、授粉者はコーモリだそうです。
以上のような繁殖手段を持つパイナップルは自然界ではクラウンも含めて栄養繁殖が可能だと思います。





勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-10-26
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