質問者:
高校生
玉木
登録番号0458
登録日:2006-01-06
植物には神経組織と似たようなものは存在するのでしょうか?みんなのひろば
植物は感じることが出来る?
私は植物をほめて育てる場合と、けなして育てる場合成長に変化はあるのか、という実験をしています。結果ほめて育てた植物の方が、花開くのが早く大きかったのです。
植物には神経組織や脳は無いですよね?
でもよく調べてみると私と似たような結果になっている実験をいくつか見つけました。
(例 ルーサー・バンク学者のサボテンの実験)考えてみると植物が光の方向に向かって成長するのも神経の一種が働いているからでは無いのですか?また、植物にもモノアミン類が存在すると聞きました。
これは植物の成長とは関係は無いのですか?
玉木さん:
面白い実験をしましたね。
最初の疑問「植物に神経組織と似たものがあるのか」についての答えは「ありません」というものです。しかし、植物は外界の刺激を感知していろいろな応答反応を示します。
玉木さんが行った実験、植物を「誉めて育てる」ときと「話して育てる」実験で「誉めて育てた植物の方が開花も早く花も大きかった」とのことですが実験科学者の立場から「それはこういうことです」とお答えすることは出来ません。人の意識と植物(生物)の行動との関係を論じ、その間に何らかの関係があるとする立場の人々(科学者を含め)はいます。熱心に祈り続けたら収量が増加した、針のないサボテンが出来た、名曲を聴かせ続けたら花がたくさん咲いたとか、いわゆる超常現象、心霊現象は「そのようなことは実際にあった」のかもしれませんが再現性に疑問があり現代科学の知識、手法では研究の対象とはなり得ないものです。実験条件を正確に記載した実験の観察結果でも、他の人が同じ実験条件のもとで同じ結果が得られなければ、その結果は「本当のこと」とされません。
植物は外界の刺激を感知すると述べましたが光、日長、重力、温度、接触、傷害、病原菌侵入など環境からのさまざまな物理的、化学的、生物的刺激を植物細胞は化学的信号に変え、成長速度を変えたり遺伝子の発現を調節したりしていろいろな生理反応をおこしています。クロロフィル(葉緑素)は光を受容して光合成の初発反応を行っていますね。また、光の質、方向、日長などはフィとクローム、クリプトクローム、フォトトロピンといった光を感ずる色素タンパク質が光の信号を細胞内化学的信号に変換して植物ホルモンの分布を変えたり遺伝子発現を変えたりして生化学反応をを調節しています。同じ植物でも暗黒の中で育てた「もやし」と明所で育てた「芽生え」の形の違いを思い出して下さい。眼はなくても光を感ずるからこそこの違いが出来るのです。重力に対しては重力を感ずる特殊な細胞があり信号転換をしています。一部に与えた刺激が他の部分に影響を及ぼすことはふつうにおこることで、同一個体内の遠距離信号としては植物ホルモンなどが、個体間(異種個体を含む)ではフェロモン様物質(アレロパシー物質)を介して信号を伝えています。しかし、人の言葉、願い、祈り、音曲などを感知する証拠は今のところありません。
植物を「可愛がる」方法として毎日先端部分を手でなでたり、茎を指で挟んで軽くなでたりすると植物全体の成長が抑制されて小形の植物が出来ます(接触形態形成といわれています)。葉の一部が病原菌に感染すると、感染部位で殊な信号物質が合成され、これが他のまだ感染していない健全な部分に運ばれて病害抵抗性を与え、全身の感染を防いでいる場合もあります。また、害虫に囓られると(傷害)傷害部位とその周辺に特殊なタンパク質が出来、このタンパク質が害虫の消化に悪影響を与えるので、続けて食害を受けないようになるといわれています。特殊な例として、蝶や蜂の幼虫に囓られると、植物は揮発性の警告物質を出し囓っている幼虫の天敵を呼び寄せることもあります。この他にも、植物が環境、仲間、病害生物などの刺激を感じて器官の間、個体の間に信号を伝えあって生存を図っている例がまだまだたくさんあります。ある意味では、植物器官や個体は相互に「語り合っている」「人の愛情を感じ取っている」とは言えるかも知れませんが、あくまでも人が植物を擬人化して表現したものです。外界の刺激に対する植物の応答反応や刺激伝達系の研究は分子レベルで活発に薦められている領域です。たいていの植物生理学の参考書や科学雑誌の特集号などにはその概要や最先端の研究が説明されています。参考にして下さい。
最後に、突然モノアミンが出されていますが、植物におけるモノアミンはコンニャクの仲間の肉穂花序が出す悪臭の成分メチルアミン、ブチルアミンあるいはバラ科のある種に含まれるイソブチルアミン、イソアミルアミンなどがありますがその役割は判っていません。揮発性ですから他の生物への信号物質となっている可能性はあります。成長と関するものといえばおそらくポリアミンのことを言われているのではないかと思います。ポリアミンは植物の成長、分化に必要な成分であることが判っています。人によっては植物ホルモンのような働きがあると指摘されているものです。
面白い実験をしましたね。
最初の疑問「植物に神経組織と似たものがあるのか」についての答えは「ありません」というものです。しかし、植物は外界の刺激を感知していろいろな応答反応を示します。
玉木さんが行った実験、植物を「誉めて育てる」ときと「話して育てる」実験で「誉めて育てた植物の方が開花も早く花も大きかった」とのことですが実験科学者の立場から「それはこういうことです」とお答えすることは出来ません。人の意識と植物(生物)の行動との関係を論じ、その間に何らかの関係があるとする立場の人々(科学者を含め)はいます。熱心に祈り続けたら収量が増加した、針のないサボテンが出来た、名曲を聴かせ続けたら花がたくさん咲いたとか、いわゆる超常現象、心霊現象は「そのようなことは実際にあった」のかもしれませんが再現性に疑問があり現代科学の知識、手法では研究の対象とはなり得ないものです。実験条件を正確に記載した実験の観察結果でも、他の人が同じ実験条件のもとで同じ結果が得られなければ、その結果は「本当のこと」とされません。
植物は外界の刺激を感知すると述べましたが光、日長、重力、温度、接触、傷害、病原菌侵入など環境からのさまざまな物理的、化学的、生物的刺激を植物細胞は化学的信号に変え、成長速度を変えたり遺伝子の発現を調節したりしていろいろな生理反応をおこしています。クロロフィル(葉緑素)は光を受容して光合成の初発反応を行っていますね。また、光の質、方向、日長などはフィとクローム、クリプトクローム、フォトトロピンといった光を感ずる色素タンパク質が光の信号を細胞内化学的信号に変換して植物ホルモンの分布を変えたり遺伝子発現を変えたりして生化学反応をを調節しています。同じ植物でも暗黒の中で育てた「もやし」と明所で育てた「芽生え」の形の違いを思い出して下さい。眼はなくても光を感ずるからこそこの違いが出来るのです。重力に対しては重力を感ずる特殊な細胞があり信号転換をしています。一部に与えた刺激が他の部分に影響を及ぼすことはふつうにおこることで、同一個体内の遠距離信号としては植物ホルモンなどが、個体間(異種個体を含む)ではフェロモン様物質(アレロパシー物質)を介して信号を伝えています。しかし、人の言葉、願い、祈り、音曲などを感知する証拠は今のところありません。
植物を「可愛がる」方法として毎日先端部分を手でなでたり、茎を指で挟んで軽くなでたりすると植物全体の成長が抑制されて小形の植物が出来ます(接触形態形成といわれています)。葉の一部が病原菌に感染すると、感染部位で殊な信号物質が合成され、これが他のまだ感染していない健全な部分に運ばれて病害抵抗性を与え、全身の感染を防いでいる場合もあります。また、害虫に囓られると(傷害)傷害部位とその周辺に特殊なタンパク質が出来、このタンパク質が害虫の消化に悪影響を与えるので、続けて食害を受けないようになるといわれています。特殊な例として、蝶や蜂の幼虫に囓られると、植物は揮発性の警告物質を出し囓っている幼虫の天敵を呼び寄せることもあります。この他にも、植物が環境、仲間、病害生物などの刺激を感じて器官の間、個体の間に信号を伝えあって生存を図っている例がまだまだたくさんあります。ある意味では、植物器官や個体は相互に「語り合っている」「人の愛情を感じ取っている」とは言えるかも知れませんが、あくまでも人が植物を擬人化して表現したものです。外界の刺激に対する植物の応答反応や刺激伝達系の研究は分子レベルで活発に薦められている領域です。たいていの植物生理学の参考書や科学雑誌の特集号などにはその概要や最先端の研究が説明されています。参考にして下さい。
最後に、突然モノアミンが出されていますが、植物におけるモノアミンはコンニャクの仲間の肉穂花序が出す悪臭の成分メチルアミン、ブチルアミンあるいはバラ科のある種に含まれるイソブチルアミン、イソアミルアミンなどがありますがその役割は判っていません。揮発性ですから他の生物への信号物質となっている可能性はあります。成長と関するものといえばおそらくポリアミンのことを言われているのではないかと思います。ポリアミンは植物の成長、分化に必要な成分であることが判っています。人によっては植物ホルモンのような働きがあると指摘されているものです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-01-23
今関 英雅
回答日:2006-01-23