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CAM 植物の気孔開閉

質問者:   高校生   山口
登録番号4584   登録日:2019-11-15
CAM 植物の気孔は夜間に開き、昼間には閉じています。この特徴的な気孔の開閉を可能にしているメカニズムとはどのようなものなのでしょうか?C3植物の場合とどのように違うのですか?
山口さん

みんなのひろば【植物Q&A】へようこそ。質問を歓迎します。
CAM植物は、ベンケイソウ科(Crassuracea) の一部植物のように、光合成で特殊な有機酸代謝(Acid Metabolism)様式を示す植物を指します。CAM植物は、砂漠や乾燥地帯などに自生するものや他の植物体に着生するものが代表的で、水分の供給が不十分なところに生育する植物に多く見られます。サボテンやベンケイソウなどの典型的なCAM植物は、昼は気孔を閉じて水の蒸散を防ぎ、気温が下がり露点が低い夜に気孔を開いて空気中のCO2を取り入れて、これをリンゴ酸やアスパラギン酸などの有機酸として液胞中に蓄えます。昼は有機酸を分解してCO2を生成し、これを通常の光合成により、糖などの有機物の原料とすることで成長します。通常の光合成と比較すると、CO2同化に加えて有機酸の蓄積や分解に余分なエネルギーを必要とするので、エネルギー変換の効率は低くなりますが水の損失を防ぐことができるというのが最大の利点です。CAM型光合成生物は、系統的にも多様で、同じ科に属するものでもC3型とCAM型が混在している例も沢山あります。また、水の供給が不十分な時はCAM型光合成を行い、十分あるときは通常の光合成植物(C3型)と同様に、昼間に気孔開いて光合成をおこなうものもあります。要約すると、CAM型はエネルギー変換効率は悪いが、水が得にくい環境に何とか適応しようとして発達した光合成様式だということになります。

気孔の開閉は、通常の植物では、主として青色光を吸収するホトトロピンという色素タンパク質の光応答によって制御されており、また、乾燥した条件では、植物ホルモンのアブシジン酸が合成されて気孔の開閉を妨げます。CAM型植物では、気孔の開閉は主として概日リズム(生物に備わったサーカディアンクロックのはたらきで、CAM植物の場合は気温が下がる夜明け前に気孔を開く)、相対湿度、細胞内のCO2濃度によって制御されています。既に述べたように、CAM植物は系統的にも生理的にも多様なので、以上の説明はごく一般的なものです。

CAM植物については、【植物Q&A】でCAMを検索語として調べるとたくさんの回答が出ていますが、例えば、登録番号4365, 1479などが参考になるでしょう。また、CAM型光合成についてもっと詳しく調べたいなら、日本光合成学会が運営している「光合成事典」のWebサイトで「CAM」を検索語として情報を得るのが有益でしょう。


櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-11-20
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