一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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種なしスイカの減数分裂について

質問者:   大学生   きく
登録番号4590   登録日:2019-11-22
種なしスイカの不稔の質問〔登録番号0518〕についての回答を読んで、理解できないところがあったので教えていただきたいです。

3倍体の配偶子で正常なものはn=11とn=22だけで(1/2の11乗ずつ)で、それ以外発育途中で死んでしまいます。

と、説明がありましたが、なぜn=11とn=22だけが正常なのですか?これは、メス側またはオス側の一方がn=11、もう一方がn=22のときのみ、2n=33になり三倍体の種子ができるということでしょうか?
1/2のn乗とはどういう意味でしょうか。
きく 様

質問コーナーをご利用くださりありがとうございます。
登録番号0518の回答に理解できない部分があるとのことですので、補足説明をさせていただきます。
問題は、(三倍体の場合)、第一減数分裂の際に作られる「三価染色体」の二極への分かれ方にあります。この分裂においては、スイカの11組の染色体のそれぞれが独立に、各極に、三価染色体の内の一本が行くか二本が行くかの何れかが選ばれることになります(二分の一の確率)。したがって、1/2を11回掛け合わせた(1/2の11乗の)確率で、一極が11の染色体についてそれぞれが一本のみ(他極は11の染色体について全てが二本)の状態が作られます。言うまでもなく、これらの場合には正常な二倍体または四倍体の配偶子(n=11またはn=22)が作られることになります。これに対し、両極への染色体の分かれ方には多数の可能性(組み合わせ)があり、配偶子の染色体数(n)が、11と22の間の数値を取る場合が圧倒的に多く実
現され、このような染色体の組み合わせの配偶子が交配に関与した場合には正常な種子が形成されないのが普通のようです(スイカの場合)。なお、登録番号0518の回答で指摘されているように、種なしスイカと言えども、非常に低い確率ではあるが正常な配偶子(n=11 とn-22)による交配が行われることがあるので、大まかには果実一個当たり2~3個の確率で成熟した二倍体、三倍体あるいは四倍体の種子が作られているようですね。
以上は、質問への形式的な回答となっておりますので、生物学的な内容についてより深い疑問をお持ちでしたら改めて本コーナーをお訪ねください。


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2019-11-25
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