一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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竹の弁当箱について

質問者:   会社員   小栗旬
登録番号4610   登録日:2020-01-09
竹の弁当箱は殺菌作用があると聞きましたが、どんな成分のおかげで、殺菌作用があるのですか?腐りにくいのですか?
小栗旬 様

本コーナーをご利用下さりありがとうございます。
ご質問には、関連分野の研究にお詳しい森林総合研究所の大平辰郎博士から下記のような回答文をただきました。専門的になりますが、原著論文(前者は竹、後者は笹に関するもの)もお教えいただいておりますので、参考になさって下さい。なお、竹材を編んで作った弁当箱の場合には、通気性の良さも食物の腐敗防止に役立つでしょうね。

【大平博士からの回答】
竹は古くから食品との結びつきが深く、容器や包装材などに用いられてきました。そのため、食品保存の観点から抗菌性が注目され、その活性物質に関する研究が進んでいます。国内に多い竹の種類としてモウソウチクがありますが、その稈部表皮から強い抗菌性物質としてキノン誘導体の一種である2,6-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン(2,6-ジメトキシ-p-ベンゾキノン)が見つかっています。また、竹と同様にイネ科植物に属する笹も食品と結びつきが深く、笹団子、笹あめ、笹寿司、笹酒、ちまきなどは有名です。笹の一種であるクマザサの葉からは、抗菌性物質としてキノン誘導体とは異なるフェノール性物質や有機酸などが報告されています。

(参考文献)
1) Nishina, A. et al. (1991) J. Agric. Food Chem. 39: 266-269
2) Chuyen, N.V. et al. (1982) Agric. Biol. Chem. 46: 971-978


大平 辰郎(森林総合研究所関西支所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2020-01-22
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