一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ダイズの原種、ツルマメのタネは光発芽種子か

質問者:   教員   スーさん
登録番号4646   登録日:2020-02-17
 「発芽と光の関係」について調べております。
 ダイズやインゲンマメなどのマメ科のタネは,発芽に光は依存していないと思いますが,これは品種改良を行った結果なのでしょうか? 品種改良をする前は,光に依存していたのでしょうか?
 ダイスの原種とされているツルマメは,光に依存している光発芽種子なのでしょうか。また,野生種のマメ科のタネの多くは光発芽種子なのでしょうか。教えいただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
 
 
スーさん様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。野生の種子の発芽は種類によって様々な外的(環境)・内的要因、あるいは物理的・生理(生化学)的要因と言い変えてもいいですが、の制御下にあることが多いですが、作物などの栽培植物の種子は一般に吸水すれば発芽は容易に起こります。おっしゃる様に育種改良されているからです。ご質問のツルマメ(Glycine soja)の種子が光発芽種子かどうかについては、その目的で実験した研究報告は見つかりませんでした。
しかし、調べたところ、マメ科の種子で光発芽とされているものは1926年の旧い記録の中に、ヒトツバエニシダ属の Genisata tinetoria という種が一つ見つかりました。この属の種は在来のものではありませんが。同属の仲間には栽培されているものもあるようです。ツルマメの発芽に影響しているの種皮の堅さであるという研究は幾つかあります。幾種類かの種子では堅い種皮が休眠の原因となっています。
光発芽種子と言っても、教科書に広く記載されているレタス(cv.Grand Rapids)のような、フィトクロム系に依存した比較的単純な例ばかりでなく、多くは複雑です。光周性、温度周性、種子の保存条件などなどと絡み合った例も多くあります。野生のマメ科の植物の種子を集めて発芽実験をされてみてはどうでしょうか。新しい知見が得られるかもしれません。



勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-02-24
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