一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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重複受精について

質問者:   高校生   生物好きの高校生
登録番号4663   登録日:2020-03-09
重複受精について
参考書いくつか見た際に、
花粉管が胚珠に向かう時
上部から受精しているものと
下部から受精しているもの
2パターン書かれておりました。
その場合、
反足細胞や卵細胞の位置が
変わっていることになるので、
どちらが正しいか
教えていただければと思います。
生物好き高校生君

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。胚珠の向きを説明なしに二つのパターンだけ挙げて図示してあるのは少し不親切かもしれませんね。胚珠の形態、特に子房の中での位置(向き)について一番最初に論じたのはミルベル(Mirbel,1929年)で、彼は珠孔対珠柄(胎座)の位置関係から直生型(orthtropous, atropous)、倒生型(anatropous)、湾湾生型(campylotropous)、曲生型(amphitropous)の四つのタイプに分類しました。
しかし、この問題は系統分類との関わりも含めてその後現在まで、関係研究者の間で論ぜられているようです。ここではそのような詳細には触れませんが、いずれにしろ、胚珠は子房の中で、その珠孔が胎座に対してどのような向きになっているかは様々で、大まかには科によって異なるようです。
Davisという研究者が調べたところでは(1966)、双子葉植物248科の内、204科の植物は倒生(82%)、つまり珠孔が下向きであり、20科の植物は直生、つまり上向き、13科の植物は半倒生(hemitropous)つまり、横向き、11科の植物は湾生、つまり湾曲している、ということです。
このことから、胚珠は下向きが最も一般的であると言えます。したがって図示するときは倒生型を例に使う方いいかもしれませんね。なお、反促細胞や卵細胞の位置とは関係ありません。本コーナー登録番号2624も読んでください。 
さらに疑問がありましたら、どうぞ質問してください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-03-20
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