質問者:
高校生
みこ
登録番号4678
登録日:2020-03-31
部活の実験で茎頂分裂組織と根端分裂組織をそれぞれ切り出してH基本培地と植物ホルモンを用いて培養する実験を行おうと考えているのですが、この二つの分裂組織は植物から切り出して得ようと考えています。(根端分裂組織は根冠が残らないようにしたいです)どのような感じで切り出したらその分裂組織を切り出すことができますか?何かコツがあるならそれも教えてほしいです。
みんなのひろば
分裂組織の切り出し方
みこ君
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ご質問への回答は植物工学の研究に携わっておられる千葉大学大学院園芸学研究科(兼務:植物分子科学研究センター)の井川智子先生にお願いしました。
【井川先生の回答】
表面殺菌を終えた段階からの茎頂の切り出し方についてお答えします。表面殺菌の段階では、まだ分裂組織の周りにいく枚かの葉が残っています。それを拡大顕微鏡下で観察しながら、カミソリの刃で残った葉を外側に倒すようにして、根元から切り剥がしていきます。切り出し作業の時の茎頂の固定ですが、茎が長めに残っていれば利き手と反対側の手で抑え、回転させながら作業すると良いでしょう(この場合は、茎頂の側面を顕微鏡で見ています)。茎が短い場合は、かための寒天(4%くらい)のような物にさして、上から茎頂を観察する向きで作業を行います。
葉を剥がしていくと、やがて透明なドーム型の分裂組織と、その周りに葉原基(成長すると葉になる部分)が現れてきます。このドームと周りの葉原基が1〜2個分になるくらいまで、剥いて下さい。そして、分裂組織と茎頂の付け根に水平にカミソリを入れて切り出します。もしスッとカミソリが入らなければ、水平にノコギリのように動かして、カミソリを入れます。この時、力を入れすぎて茎頂を潰さないように慎重にやりましょう。切り出せると自然にカミソリの上に茎頂が乗るので、そのまま培地の表面を切るようにして、茎頂を培地に置床します。
切り出しに使用するカミソリですが、個人的にはFeather社の2枚刃のカミソリが使いやすく、安価です。紙に包装されたままパキパキと指で折ることができるので(指を切らないように注意して下さい)、好みの幅に調整できます。これをブレードホルダーに挟んで使います。カミソリの滅菌はアルコールに漬けた後、バーナーの火で残ったアルコールを揮発させる程度で良いでしょう。あまりじっくり火であぶってしまうと、切れ味が悪くなります。繰り返して火であぶってもすぐに切れ味が落ちるので、その場合は新しいカミソリに交換して下さい。カミソリでのやり方を書きましたが、27ゲージくらいの細い注射針を代わりに使う人もいます。
茎頂に比べると、根端はもっとラクにできると思います。根冠を切り落とすときも水平にカミソリの刃を入れ、スッと切るのが理想です。
なお、参考文献としては、『植物バイテクの実際 (農学基礎セミナー) 』 大沢 勝次 (著), 久保田 旺 (著) 、出版社: 農山漁村文化協会 (2003/4/1)などが挙げられると思います。Amazonなどで検索すると、他にも良さそうな本がありますが、私自身が中身を見たことがないので、茎頂培養に関する詳しい情報が載っているかは定かではありません。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ご質問への回答は植物工学の研究に携わっておられる千葉大学大学院園芸学研究科(兼務:植物分子科学研究センター)の井川智子先生にお願いしました。
【井川先生の回答】
表面殺菌を終えた段階からの茎頂の切り出し方についてお答えします。表面殺菌の段階では、まだ分裂組織の周りにいく枚かの葉が残っています。それを拡大顕微鏡下で観察しながら、カミソリの刃で残った葉を外側に倒すようにして、根元から切り剥がしていきます。切り出し作業の時の茎頂の固定ですが、茎が長めに残っていれば利き手と反対側の手で抑え、回転させながら作業すると良いでしょう(この場合は、茎頂の側面を顕微鏡で見ています)。茎が短い場合は、かための寒天(4%くらい)のような物にさして、上から茎頂を観察する向きで作業を行います。
葉を剥がしていくと、やがて透明なドーム型の分裂組織と、その周りに葉原基(成長すると葉になる部分)が現れてきます。このドームと周りの葉原基が1〜2個分になるくらいまで、剥いて下さい。そして、分裂組織と茎頂の付け根に水平にカミソリを入れて切り出します。もしスッとカミソリが入らなければ、水平にノコギリのように動かして、カミソリを入れます。この時、力を入れすぎて茎頂を潰さないように慎重にやりましょう。切り出せると自然にカミソリの上に茎頂が乗るので、そのまま培地の表面を切るようにして、茎頂を培地に置床します。
切り出しに使用するカミソリですが、個人的にはFeather社の2枚刃のカミソリが使いやすく、安価です。紙に包装されたままパキパキと指で折ることができるので(指を切らないように注意して下さい)、好みの幅に調整できます。これをブレードホルダーに挟んで使います。カミソリの滅菌はアルコールに漬けた後、バーナーの火で残ったアルコールを揮発させる程度で良いでしょう。あまりじっくり火であぶってしまうと、切れ味が悪くなります。繰り返して火であぶってもすぐに切れ味が落ちるので、その場合は新しいカミソリに交換して下さい。カミソリでのやり方を書きましたが、27ゲージくらいの細い注射針を代わりに使う人もいます。
茎頂に比べると、根端はもっとラクにできると思います。根冠を切り落とすときも水平にカミソリの刃を入れ、スッと切るのが理想です。
なお、参考文献としては、『植物バイテクの実際 (農学基礎セミナー) 』 大沢 勝次 (著), 久保田 旺 (著) 、出版社: 農山漁村文化協会 (2003/4/1)などが挙げられると思います。Amazonなどで検索すると、他にも良さそうな本がありますが、私自身が中身を見たことがないので、茎頂培養に関する詳しい情報が載っているかは定かではありません。
井川 智子(千葉大学大学院園芸学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2020-04-13
勝見 允行
回答日:2020-04-13