一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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二色咲きの桜に見えるのですが

質問者:   自営業   山狸
登録番号4683   登録日:2020-04-04
緑地で見かけた桜とおぼしき花が、二色入り交じっていました。品種を調べようインターネット上を探したのですが、梅か桃の話がほとんどでした。

探すうちにこちらにたどりつき、桜の源平咲きは見当たらない、という話を拝読しました。とすると、これは桜ではないのだろうか、それとも、これは桜だが、こういうのは、源平咲きとは言わないのだろうか、と疑問に思い、質問に上がった次第です。

写真では、分かりにくいのですが、一本の木に、白い花とピンクがかった花とが混在して咲いています。軸の先に花がついているので、梅や桃ではないと思うのですが・・・

軽い気持ちで撮影したため、木の幹がほとんど写っていません。申し訳ありません。
山狸様

みんなの広場「植物Q&A」へようこそ。
質問を歓迎します。
回答は、サクラの研究が専門の勝木俊雄農学博士(森林総合研究所多摩森林科学園チーム長)にお願いしました。

【勝木先生の回答】
写真を拝見する限り、これはウメやモモではなく、サクラの仲間です。
写真だと種まではわかりませんが、オオシマザクラが関係している種類のようです。
山狸さんがたどり着いたページは、私が書いた[登録番号0590「源平咲きの桜はありますか?」]の回答のことかと存じます。
この中で、源平咲きの原因として一部細胞の色素合成に変化が生じることが述べられています。つまり、源平咲きとは花弁の色素が花ごとに異なるということになります。
ところが、山狸さんの写真のサクラは、一見したところ赤と白の花弁が混ざっているように見えますが、よく見てみるといずれの花弁も先端部は白色で違いはありません。実はオオシマザクラなどの一部のサクラでは、花が咲いているうちに花弁の基部から赤くなる現象が見られます。このサクラもそうしたもので、源平咲きではなく、咲き始めは白かった花弁が、散り際に赤くなっているものです。
こうした現象は‘染井吉野’でもよく見られ、特に低温が続いて長く花が咲いていると、色づくことが多いようです。また、サクラだけではなく、フヨウの栽培品種‘酔芙蓉’のようにその花色の変化を楽しむ植物もあります。こうした花弁の変化を酔色と表現することがあります。
‘酔芙蓉’も山狸さんのサクラも、酔って赤くなったように見えますね。

写真1(山狸さんより)

写真1(山狸さんより)

写真2(山狸さんより)

写真2(山狸さんより)

写真3(山狸さんより)

写真3(山狸さんより)

勝木 俊雄(森林総合研究所多摩森林科学園チーム長)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2020-04-10
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