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カルビンベンソン回路のプロトンの挙動

質問者:   大学生   KOT
登録番号4698   登録日:2020-04-21
高CO2濃度下ではカルビンベンソン回路が回り続け、ルーメン内のpHが下がると参考書に書いてありました。
これがいまいちピンとこなかったので、カルビンベンソン回路の全反応を見てプロトンの挙動をつかもうとしたのですが、複雑で計算が合いません。
カルビンベンソン回路内部のプロトンの挙動はどのようなものになっているのでしょうか。
KOT 様

このコーナーをご利用いただきありがとうございます。

参考書に「高CO2濃度下では、カルビン・ベンソン回路が回り続け、ルーメン内のpHが下がる」との記述があったので、葉緑体のストロマ区画で進行するカルビン・ベンソン回路の反応に伴うプロトンの出入りと、チラコイドの内腔(ルーメン)でのプロトン濃度の上昇(pHの低下)との関係を理解しようとされているようですね。

ご存知のように、カルビン・ベンソン回路の回転には基質としての二酸化炭素の供給に加えて光エネルギーの注入が必要です。光エネルギーは具体的には高いリン酸ポテンシャルとしてのATPと強い還元力としてのNADPHなどの形で回路に供給されますが、これらの化学エネルギーの形成には光化学反応中心により駆動される電子伝達反応が関わることになります。光エネルギーの注入で進行する光合成電子伝達反応においては、強い還元力が形成されるとともに、電子伝達の反応に伴う過程としてのチラコイド膜内外でのプロトンの生成・消費およびストロマからルーメンへのプロトンの輸送が行われ、それらの結果としてのチラコイド膜を隔てたプロトンの濃度勾配が形成されます(ルーメン内のpHが下がる方向で)。そして、この電気化学的なエネルギーを消費する(pH差を解消する)形でストロマでのATP合成の化学反応が進むことになります。以上は、光合成色素による光の吸収に伴って進行する受動的な過程で、当然、この過程にはATPやNADPHなどの需要を反映する反応調節の仕組みが内包されています。

生理的な条件下でのカルビン・ベンソン回路の各反応がストロマのプロトン濃度変化にどの程度寄与するかについての考察は貴方の学習に残しておきますが、参考書の記述は「カルビン・ベンソン回路が回り続ける結果として、ルーメン内のpHが下がる」ことを意味しているのではないと思います。

佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-04-29
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