一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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1つの花に複数の種ができる仕組みが知りたいです。

質問者:   会社員   敏
登録番号4710   登録日:2020-05-03
今朝TVで藤の花の映像を見て、ふと、疑問に思いました。豆や菜種やイチゴなど、1つの花に複数の種子ができる植物が多いですが、どのように受精しているのでしょうか。1回の受粉で複数の種子の受精が成立するのか、あるいは種子の数だけ受粉が必要なのか‥。インターネットで少し調べたのですが、答えが見つかりませんでした。どうしても気になったのでTwitterで検索し、こちらの質問コーナーを拝見して質問させて頂きました。お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
敏様

質問コーナーヘようこそ。歓迎いたします。一つの花に種子がいくつできるかということは、花の構造と受精の仕組みがわかれば理解できます。モモ、ウメ、アンズ、サクランボなどの花は一つの果実を作り、種子が一つしか入っていませんね。また、ユリなどの花などは数百の種子を作ることもあります。これは花の作りが違うからです。関連した質問と回答がすでにいくつかホームページに登録されていますので、それを読んでいただければ納得されることと思います。登録番号3515,3874,4307を読んでください。特に登録番号3515がわかりやすいと思います。
ここでは簡単に説明しておきます。雌しべの下部の子房という膨らんでいる部分の中に胚珠(種子の元となる部分)があり、その中に一個の卵細胞が作られます。雌しべの先端(柱頭)についた花粉は花粉管を伸ばして花柱の中を通って子房の中の胚珠に到達し、珠孔という入り口から花粉管の中の精細胞(精子)を注入し、そこで受精が行われます。この受精卵が胚を形成して種子ができるのです。一個の花粉に対して一個の卵細胞が対応しますので、一個の花粉に対し一つの胚珠ということになります。一つの花に胚珠が一つしかないときは種子は一つしかできません。胚珠が複数あれば最大その数だけ種子ができます。受精にあずかる花粉の数は胚珠の数だけです。実際には受精の失敗や胚の未発達などが原因で最大数まで種子が出来ないことは珍しくありません。
花にも様々な作りがあって、一つの花のように見えても、実はたくさんの花が集合して出来ているものもあります。集合花と言いますが、キク科の花はそうです。例えばヒマワリの花にはたくさんの種子が出来ますが、これはたくさんの小さな花が皿の上に円板状に配列されたようになっているもので、種子はそれぞれの花に一個ずつ作られます。登録番号4700をお読みください。


勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-05-09
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