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コケシノブ科の異型細胞性について

質問者:   大学生   鈴木
登録番号4712   登録日:2020-05-04
私は大学で森林科学を学んでいます。
たくさんの植物を覚えることがとても楽しく、また実地調査で非常に役に立つため、よく暇な時に図鑑を読んだりしています。

先日、シダ植物の図鑑(日本の野生生物 シダ 平凡社)を読んでいた時、シダ植物の細胞構造は他の被子植物と少し異なり、ほぼ全ての細胞に葉緑体が含まれていること、葉肉の薄さ故に柵状組織があまり発達しないこと等を知りました。
しかし、そのシダの細胞構造には異形のものがあり、コケシノブ科の葉は、葉脈・偽脈以外が細胞層一層で構成され、細胞間隙や「気孔」がないという驚きの性質をもつと知りました。

気孔が無ければco2を吸収出来ず、co2がないということは光合成を行えないということになります。気孔だけでなく、光合成のガス交換の場となる細胞間隙がないというのも、光合成を行っていないという事を示唆しているように感じます。
ということは、コケシノブ科は、例えばマツバランのように、ほぼ腐生植物のようなシダなのでしょうか?
それとも何か特殊な栄養生成(吸収)方法があるのでしょうか?

調べてもよく分からなかったので、お教え頂きたく思います。よろしくお願い致します。
鈴木 様

このコーナーをご利用下さりありがとうございます。

樹林などを構成する典型的な植物の場合、多重の細胞層からなる葉の表面はクチクラなどで被われており、気孔や細胞間隙の存在が光合成を行う細胞への二酸化炭素の供給に役立っております。
ところが、コケシノブ類の場合には、貴方が図鑑で調べられたように葉の細胞層が少なく、見かけ上もほとんど透明なような状態で、孔辺細胞(気孔)の分化はみられないようです。木陰でコケなどと混じって岩や樹皮に付着して生育していることが多いようですが、従属栄養的に生きているわけではありません。光合成器官としての葉緑体を備えた細胞への二酸化炭素の供給は葉の表裏面から全面的に行われているようです。森林環境下にはいろいろな生物の生活があると思いますので、知識を現地での観察で確認されることをお勧めします。



佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-05-10
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