質問者:
一般
たけちゃん
登録番号4715
登録日:2020-05-06
花の写真を撮り、その花について調べていくうちに、花の持つ知恵、生きる力に驚嘆しています。木陰の花色の変化
日本植物生理学会さんのおかげです。感謝しています。
10年ほど前、河津桜の下にピンクのオオデマリと薄桃色のシャクナゲ・ウエディングブーケを植えました。
オオデマリは全くピンクが消え白に、シャクナゲは蕾以外ほとんど白になりました。
紫外線対策をしなくてもよくなったからアントシアニンが必要なくなったというプラスの理由でしょうか、拙い質問で申し訳ないのですが、教えて頂ければ嬉しいです。
たけちゃん さん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物の花の色や葉の色が変化するのはごくふつうに起こる現象です。その原因はいろいろありますが環境条件の変化、特に日長や温度の変化、加齢によるもの、物理的傷害、遺伝的形質(メンデル遺伝と細胞質遺伝の場合がありますが)などが挙げられます。
ご質問は花の色についてですが、挙げられたオオデマリとシャクナゲでは状況が少し違います。オオデマリはいわゆる偽花と言われ、アジサイなどと同じように萼(正常な花ではクロロフィルがあり緑色)が花弁状になったものです(この変化は遺伝的な形質です)。オオデマリの典型的な花は薄緑色ですが、加齢が進むにつれてクロロフィルが消失して白色になります(この変化も遺伝的な側面があります)。クロロフィルが消失すると白色になる現象は他にもみられます。例えばマタタビやハンゲショウの葉は局所的にクロロフィルが消失して白色になる部分が生じます。白色に見えるのは白色の色素があるわけでなく、色素が抜けると(少ないと)細胞間隙の空気の影響で白く見えることによります。ピンクのオオデマリは育種的に選抜されたてものでおそらくアントシアニン系統の色素が僅かに発現したことによるものと思われ、園芸品種でもかなり不安定な形質で同じ株にピンク、薄緑の花をつけるもの、同じ花序の中でもピンクと薄緑、白が混在するものが多くあります。成長過程や継代におけるアントシアニン色素生合成の遺伝子発現制御の変化も考えられます。
これに対しシャクナゲはツツジ科で花弁の色発現の問題です。日本ではピンクのシャクナゲと言えばアズマシャクナゲを思い出しますが、これも加齢とともに色が薄くなる傾向はあるようです。ご質問のウエディングブーケは西洋シャクナゲの園芸品種の一つですが形質が品種として固定していないのか栽培環境による変化か、残念ながらわかりません。同じ名前の園芸品種でも細かい形質発現に多様な変差があることは珍しいことではありません。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物の花の色や葉の色が変化するのはごくふつうに起こる現象です。その原因はいろいろありますが環境条件の変化、特に日長や温度の変化、加齢によるもの、物理的傷害、遺伝的形質(メンデル遺伝と細胞質遺伝の場合がありますが)などが挙げられます。
ご質問は花の色についてですが、挙げられたオオデマリとシャクナゲでは状況が少し違います。オオデマリはいわゆる偽花と言われ、アジサイなどと同じように萼(正常な花ではクロロフィルがあり緑色)が花弁状になったものです(この変化は遺伝的な形質です)。オオデマリの典型的な花は薄緑色ですが、加齢が進むにつれてクロロフィルが消失して白色になります(この変化も遺伝的な側面があります)。クロロフィルが消失すると白色になる現象は他にもみられます。例えばマタタビやハンゲショウの葉は局所的にクロロフィルが消失して白色になる部分が生じます。白色に見えるのは白色の色素があるわけでなく、色素が抜けると(少ないと)細胞間隙の空気の影響で白く見えることによります。ピンクのオオデマリは育種的に選抜されたてものでおそらくアントシアニン系統の色素が僅かに発現したことによるものと思われ、園芸品種でもかなり不安定な形質で同じ株にピンク、薄緑の花をつけるもの、同じ花序の中でもピンクと薄緑、白が混在するものが多くあります。成長過程や継代におけるアントシアニン色素生合成の遺伝子発現制御の変化も考えられます。
これに対しシャクナゲはツツジ科で花弁の色発現の問題です。日本ではピンクのシャクナゲと言えばアズマシャクナゲを思い出しますが、これも加齢とともに色が薄くなる傾向はあるようです。ご質問のウエディングブーケは西洋シャクナゲの園芸品種の一つですが形質が品種として固定していないのか栽培環境による変化か、残念ながらわかりません。同じ名前の園芸品種でも細かい形質発現に多様な変差があることは珍しいことではありません。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-05-11