一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トゲチシャの葉っぱはなぜ捻じれているのか

質問者:   一般   植物好き
登録番号4720   登録日:2020-05-08
道端でよく見るトゲチシャの葉っぱが、茎元から捻じれて
上向きではなく縦向きになっています。ランの花が捻じれて昆虫
が停まりやすくしているというような、植物生態の意味があるのかなと思い調べましたが、情報がありません。
なぜ捻じれているのかの意味を質問します。
植物好き様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。 
さすが植物好きだけあって、観察が行き届いていますね。ご存知だと思いますが、トゲチシャ( Lactuca serriola L.)はヨーロッパ、アジアなどの地方が原産の帰化植物で、葉の裏側の葉脈にトゲがあることからそう名付けられたと思いますが、別称もありますね。英語でもprickly lettuceと言ってそのままの名前です。向こうでも食用に供しています。
さて、葉がなぜ捻れているかということは、他の植物の変わった形態がなぜそうなっているかと問うのと同じで、難しい問題です。ただ、植物(生物全て)の形態はでたらめにそうなっているのではなくて、長い進化の過程の中でその植物が、生育するその環境において、最も適した生育と繁殖のための体型として作り上げられてきたものだと思います。したがって、トゲチシャの葉の捻れも植物にとって何か有利に働いていると考えると、生態的な意味があると思います。
トゲチシャの葉は下部、つまり歳をとった大きい葉に多く捻れが見られます。これらの葉は積極的に光合成を行って、植物へ栄養を補給しています。光合成のためにはより多くの陽光の照射が望ましいはずです。そういう観点から考えると、捻れは陽光を最大に補えるために表面を南に向けられるようにしていると推測されます。ちなみに米国では、トゲチシャの葉面の向きが南北の指針になるということで ’compass plant'(羅針盤植物)とも呼ばれています。植物にとって光合成を効率良く行なうことは生存にとって極めて大切なことですので、葉ができるだけ多くの陽光を受け取ることができるように、並び方など工夫をしています。
本コーナーで「葉の向き」で検索していただき、その中の回答にも挙げられている登録番号の質問/回答を是非読んでください。



勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-05-12
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