一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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クンショウモのギザギザ

質問者:   中学生   細田
登録番号4753   登録日:2020-06-06
僕はクンショウモの名前も姿も前から知っていたのですが、中学生になって、教科書にクンショウモがのっており、改めてよく見てみると疑問に思ったことがあり、解決したいと思ったので、質問しました。
クンショウモはまわりにギザギザしたトゲのようなものが付いているような姿になっていますが、そのギザギザしたトゲのようなものの数には規則性などはありますか?僕は画像検索をしてみたのですが、どれも数がバラバラで手掛かりが掴めませんでした。話がわかりづらく、申し訳ございません。よろしくお願い致します。
細田 様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

 クンショウモが群体であることは知っていますね。群体とは、複数の細胞が接着して一つの個体を作っている生物です。多細胞生物と違うところは、子孫を残す過程(生殖課程)以外では細胞分裂を行わないことです。クンショウモは原則として一定数の細胞からできていますので、定数群体と呼ばれています。定数個体では、親個体の細胞の中で親個体と同じ細胞数と同様な形をもった小さな群体が作られます。その群体は親細胞から放出され、成長して大きくなりますが、細胞数も形も一定であるという特徴があります。
 クンショウモは、平面構造をしていますが、外側を囲んでいる細胞には突起をもつものが多く見られます。一般的にクンショウモと呼んでいるものにもいろいろな種類があります。例えば、ヒトヅノクンショウモには、ひとつの細胞にひとつの突起が、フタヅノクンショウモには二つの突起があります。細胞あたりの突起数は数の規則性と言えるでしょう。
 画像検索をした結果、ギザギザしたとげのようなものの数が一定でなかったということですので、その理由を考えてみました。その一つは、上にも述べましたが、クンショウモと言っても多くの種類(種)があることです。ヒトヅノクンショウモやフタヅノクンショウモの他にもビワクンショウモ、サメハダクンショウモなど20の種と非常に多くの、種とは少し性質が異なり、分布している地域が異なるもの(変種)が知られています。細胞数や形もいろいろですから、突起の数もいろいろになります。また、同じ種で、細胞数が同じでも個体の突起の数が異なることがあります。例えば、フタヅノクンショウモの16細胞のものでも、外側の細胞数が11で、内側のものが5のものと外側の細胞数が10で、内側のものが6のが観察されます。内側の細胞には突起はありませんので、外側の細胞数に対応した突起が観察されます。すなわち、突起が12の群体と10の群体があることになります。クンショウモの群体の突起の数が
いろいろでも不思議ではありません。
 なお、多細胞生物と群体との違いについては、植物Q&A 登録番号1413に詳しい説明がありますので、ご覧になって下さい。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-06-14
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