一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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チャンチンについて

質問者:   一般   またたび
登録番号4763   登録日:2020-06-17
はじめまして。庭木について疑問に思っている事があり質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

チャンチンという樹木についてなのですが、2年ほど前に伐採し、切り株(地上100cm程度)を残した状態で庭に放置されております。

切り株付近の地面や、少し離れた場所、最近ではブロック塀を越えたお隣の庭の隅(3mほど離れた場所)からも新芽が出てきてしまっております。

こうして新芽が出てくるのは、チャンチンの根から発芽する性質(根萌芽?)からくるものなのか、それともチャンチンは秋口に種子を飛ばすらしいのですが、伐採前に飛ばされた種子から発芽したものなのかが気になっております。

この季節とても成長が早く、放っておくと群生してしまいそうなので、新芽を見る度に切り取っておりますが、小さな芽でも地面に大きな株があるみたいで切り取る程度ではすぐに新しい芽が生えてきてしまっております。

お隣の庭の隅から生えてきてしまった芽に関しては、ブロック塀(高さは30cmくらいのブロックの上に鉄製の柵がついたもの)を越えた先になるので、ブロックの下を潜って根が伸びるものか疑問です。

根からは明らかに発芽する性質を持っているようですが、秋口に飛ばした種子から、翌年、または翌々年などに着地した地面から芽が出て成長するというような性質をチャンチンは持っているでしょうか?
またたび様

 植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

 チャンチンは、庭木として植えられますが、新芽を野菜として用いたり、幹を建築材として利用したりする樹高20~30メートルにもなるセンダン科の樹木です。葉は小葉が5~10対付く羽状複葉(複数の葉状のパーツに分かれている葉。そのパーツが小葉)で、互生(1つの節に1枚の葉が付く付き方)しています。6~7月に多数の小さな花をつけ、秋に翼のある種子を散布します。
 散布された種子が発芽能力をどのくらいの期間、維持するかは、環境要因や棲息する微生物の影響を受けますので、どのような環境下か不明ですのではっきりは言えません。発芽することは可能性としてはあると思います。一方、根萌芽ですが、チャンチンでも知られており、伐採などの影響を受けて活発になります。根の長さは樹高の4~10倍に達するものもありますので、かなり広い範囲で根萌芽が認められる可能性は十分あります。隣家との境のブロック塀があるとのことですが、地下の部分がどの程度の深さで、どのような構造になっているか、あるいは、隙間があるかどうかの状況が不明ですので、こちらもはっきりは言えません。
 しかし、種子から発芽したものか、根萌芽によるものかは、新芽の形態を見ればわかると思います。チャンチンは双子葉植物ですので、種子が発芽した新芽には2枚の子葉があります。子葉は複葉ではなく単葉です。また、互生ではなく対生です。それに対して根萌芽による新芽は、不定芽(通常生じないような部位に生じる茎頂のような構造をした芽)ですので子葉は認められません。新芽の出始めに子葉があるかどうか確かめられると良いと思います。また、新芽を掘り下げて、根に繋がっているかどうか確かめることはできないのでしょうか。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-06-28