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ムラサキカタバミの花はどうして閉じるのか?

質問者:   中学生   ひこりん
登録番号4770   登録日:2020-06-21
自由研究でムラサキカタバミの花の開花について調べています。

観察の結果、ムラサキカタバミの花は晴れた日の朝から夕方にかけ約10時間程開花しその後は花を閉じ、下を向くような感じになります。雨の日には花を咲かせず、急な雨の時もすぐに茎を倒したり、花を下向きにして花を守ります。
一日中暗くしておいても、時間通りに花を咲かせることや、昼夜逆転させると次第にその環境に慣れて花を咲かせることもわかりました。

本で調べると、ほかの種類のカタバミも同様で、花の開閉の理由として「種子を作るために、花粉を虫達に運んでもらう時間に開花し、夜や雨の日は閉じて花の内部を守っている」ということがわかりました。
ただ、ムラサキカタバミは鱗茎で増え、種子を作っていません。
種子を作らないのなら、なぜ花を閉じるのでしょうか?昔は種子を作っていたのが、鱗茎で増える方が効率が良いので種子を作るのをやめてしまい、花は前のままの習性を残して閉じているのでしょうか?
ひこりん さん

みんなのひろば 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
昼夜で開閉する花はたくさんありますが、開閉の原因となる環境要因としてはいくつかのことが指摘されています。光、温度の周期的変化は重要な外的要因ですが、内的要因として生物時計が支配している例もありますので送粉昆虫との相互利便のためだけに花を開閉させると思い込まない方が良さそうです。また、種子を形成しても鱗茎、塊茎や脇芽が栄養分を蓄積した珠芽(ムカゴ)で増殖する例もありますので、種子繁殖と栄養繁殖とは両立しないと言うことでもありません。ユリの仲間などには主として栄養繁殖するけれども種子繁殖もする例が多く見られます。ただし、種子繁殖では成体に達するのに時間がかかるのがふつうです。似たことはオランダイチゴ、ジャガイモなどでもみられます。匍匐形や塊茎で栄養繁殖しますが、種子も形成して増殖可能です。
ムラサキカタバミは花粉が形成されないために種子ができないものです。花としての形態、挙動には大きな変化が見られません。と言うことは、花粉形成能の喪失が比較的近年におきた(突然変異と推定されます)ものとも解釈することができます。雌しべが完全かどうかも他のカタバミ(例えばイモカタバミ)との雑種の記載が見つからないので判りません。イモカタバミ自体も雄しべは花粉を形成しますが種子形成の記載がないので花粉が機能的に異常なのか、雌しべが異常なのかも判断できません。どちらのカタバミも園芸品種ですから「昔は種子を作っていたのが、鱗茎で増える方が効率が良いので種子を作るのをやめてしまい、花は前のままの習性を残して閉じている」との解釈もでき、小さな進化の過程にある状態かも知れません。
関連したものとして登録番号3070, 3765もご参照下さい。


今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-06-29
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