一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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細胞膜の選択的透過性

質問者:   高校生   たなか
登録番号4785   登録日:2020-07-02
先日授業で細胞膜の選択的透過性について学びました。
そこで、特定の物質のみを通すチャネルやポンプについて知りましたが、その「特定の物質」は植物細胞、動物細胞どちらでも同じなのかと疑問に思いました。

例えば、植物と動物の両方の性質をもつミドリムシなどの細胞膜は、植物と同じ物質を通すチャネルやポンプを持つのでしょうか?それとも、何か特有の物質を吸収したりするのでしょうか?
たなか様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。回答は生体膜のイオン輸送がご専門の岡崎芳次先生お願い致しました。

【岡崎先生の回答】
「特定の物質」の意味ですが、たとえば、膜タンパク質のナトリウムチャネルとかナトリウムポンプはNa+だけを選択的に透過させる性質があり、H+(水素イオン)やCl-は透過させません。この場合のNa+が「特定の物質」に相当します。「特定の物質」は「特別(特有)の物質」という意味ではなく、いろいろな物質(いろいろなイオン)がある中での特定の物質(特定のイオン)をさしています。イオンチャネル、イオンポンプは輸送するイオンによって多種多様な種類が知られており、生物種(たとえば動物と植物)によっても種類が異なります。
ミドリムシに着目されたのは、すばらしい着想だと思います。ミドリムシの輸送タンパク質のことについて私は全くわかりませんが、「特定の物質」を透過させるイオンチャネルがミドリムシにあることはまちがいないと思います。



岡崎 芳次(大阪医科大学生物学教室)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2020-07-14
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