一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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朝顔の種から二つの芽が出た

質問者:   一般   しのまま
登録番号4796   登録日:2020-07-10
3年前に次男が小学校で朝顔の種を一粒拾ってきました。種をまくと一粒のはずなのにかなり近い位置から2つの芽が出ました。
片方は双葉が丸まっていたので、変化するかもしれないと思い大切に育てたところ、様々に変化する面白い花がたくさん咲きました。もう片方は普通の双葉でしたが、残念ながら枯れてしまい、比較することができませんでした。
ネットで調べましたが朝顔の二つの芽が出る理由などは見つけられませんでした。一粒の種から双子のように2つの芽が出る場合、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。種の中はどうなっているのでしょうか。
現在小4の次男とこの朝顔の孫の世代を育てていますが、今でも不思議でなりません。
しのまま 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。

一年生の少年が大切に持ち帰った一粒は、一つの種子に二つの胚(幼植物)が入っている「多胚性(二胚性)」の種だったことになります。不思議に思えますが、多胚性の種子は種々の植物で作られることが知られています(本コーナー登録番号3476のQ/A参照)。一つの種子に複数の胚ができる仕組みにはいろいろな場合があるようです。典型的には、(1)卵細胞(核相, n)と精細胞(n)の接合でできる受精卵(2n)から胚が形成されて行く初期の段階で、何らかの理由で多胚になってしまう場合(ヒトなどの一卵性双生児の場合に類似)、(2)胚嚢を取り囲む珠心の細胞(2n)が何らかの刺激で胚発生を始めてクローン胚となる場合、(3)胚嚢に二つ以上の卵細胞ができ、それらが個別に受精することによって多胚の種子が作られる場合などが例として挙げられます。今回の場合がどのような仕組みであったかは分かりません。
それにしても、同じ種子の中に作られ同じ場所で同時に育っているにも関わらず、二つの双葉には外観の違いがあり、一方だけが途中で枯れてしまったのは何故でしょうか。ここに何かのヒントが隠れているのかも知れません。

今年は孫の世代を育てておられているとのこと、結実する種子のすべてを発芽させてみますか。運よく二胚の種子に出会い、育ってくる二つの植物体の性質の比較ができると良いですね。どのような差が生ずるのでしょうかね。


二つ出てきた朝顔の写真(しのままさんより)

二つ出てきた朝顔の写真(しのままさんより)

佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-07-20
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