一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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C4植物における葉緑体の識別

質問者:   大学生   皐月
登録番号4803   登録日:2020-07-16
初めて質問させていただきます。
C4植物の光合成について勉強しています。C4植物では、葉肉細胞と維管束鞘細胞それぞれの葉緑体に形態的な違い(維管束鞘細胞ではグラナ構造が少ない)があり、それは各細胞の葉緑体の光合成における働きの違いによるエネルギー要求性の違いからくるものだとありました(NADP-ME型の場合)。
そこでふと疑問に思ったのですが、葉肉細胞と維管束鞘細胞の各葉緑体について研究しようと思った時、各細胞から葉緑体を取り出すことはできると思うのですが、葉肉細胞葉緑体と維管束鞘細胞葉緑体はどのように見分けるのでしょうか。電顕で観察してグラナ構造があるかないか判別する……という原始的な方法くらいしか思い付かず、また文献も探してはいるのですがしっくりくるものが見つけられません。
葉肉細胞由来の葉緑体標本を作ったとして、その純度(維管束鞘細胞由来の葉緑体が混じっていないか)はどのようにして調べるのが一般的な方法なのでしょうか?
皐月 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。

C4光合成の仕組みの解明が進んでいった時代に思いを馳せてみてください。生化学的には、葉肉細胞と維管束鞘細胞を分離し、それぞれの細胞に含まれる葉緑体を取り出して調べることが行われました。詳細な説明は省きますが、以下に一つの文献を示させていただきます。顕微鏡像に加えてマーカーとなる酵素活性や酵素タンパク質の検出などが手がかりになると思います。

Edwards G. E., Lilley, R. McC, Craig S. and Hatch M. D. (1979) Isolation of intact and functional chloroplasts from mesophyll and bundle sheath protoplasts of the C4 plant Panicum miliaceum. Plant Physiology 63: 821-827.


佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-07-19
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