一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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体細胞分裂における染色体数の変化について

質問者:   教員   Y.K
登録番号4808   登録日:2020-07-21
中学校で理科を教えています。
第3学年の体細胞分裂について、教科書には「1つの細胞にある染色体の数は、生物の種類によって決まっている。細胞が分裂する前に、それぞれの染色体と同じものがもう1つずつつくられ、染色体の数は2倍になる。」と書かれています。
姉妹染色分体は2本で1対となっているので、染色体は数が2倍になっていると考えても良いような気がしますが、姉妹染色分体は接着されていて1つになっていることと、染色体の数は生物によって決まっているとすると、数ではなく染色体の量が2倍になっていると考えた方が良いような気もします。
高校入試でも体細胞分裂における染色体の数の変化が問われる場面が見られます。
どのように教えるべきか、ご回答いただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
Y.K 様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

教科書に書かれているという文章がどのようなことの説明かわかりませんが、体細胞分裂全般の説明であれば間違ってはいないと思います。
質問内容に書かれておられますように、細胞分裂期(M期)前期から中期では、姉妹染色分体同志は接着しており、ひとつの染色体を構成しますので、染色体数は増えません。後期に入りますと、接着がはずれ2本の染色分体は染色体になり、細胞の両極から伸びた紡錘糸によってそれぞれ両極に移動します。この時点では細胞の隔壁はできておりませんので、細胞の染色体数は2倍になります。細胞壁が形成されるまでの短い時間ですが、細胞分裂の前に染色体数は2倍になっています。
しかし、染色分体ができるところの説明だとすると、姉妹染色体は接着しておりますので、質問内容に書かれておられるように、この時点では染色体数が2倍になるとは言えません。染色体量と言われている気持ちは良く理解できますが、量という表現にやや違和感があります。いろいろ考えてみたのですが、良い表現は思い浮かびません。
もとの染色体としては2倍の数になっているが、それらは接着してひとつの染色体になっているので染色体数としては変化ないということを説明するしかないように思います。


庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-07-25
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