質問者:
小学生
いち
登録番号4852
登録日:2020-08-27
こんにちは。私はじしゅく中に散歩をして雑草をたくさんみました。最初は土だったのに、次に見ると葉があったり、次に見ると花がさいていたりで面白かったです。5月くらいからは種ができていたので、種をとってきました。色んな種がとれたので、夏休みの研究にしようと思って、まいたのですが、雑草はあまり芽が出ませんでした。スーパーのお肉のお皿にキッチンペーパーをひいて、水にひたして、そこに種をまきました。コセンダングサはすぐにめがでました。でもかわいくて育てたかったナガミヒナゲシは、何週間も咲いていたのに、ぜんぜん芽が出ません。たくさんとれたのでたくさんまきましたが、1個もでませんでした。エノコログサもでなくて、調べたら冬ごえしないと芽がでないとわかりました。ナガミヒナゲシは芽が出るみたいなのですが、私のはどうしてでないのですか?オオアレチノギクやハキダメギクや他のもいくつか芽が出ました。道ばたでは今もつぎつぎに大きくなって咲いているのは、今年の種が落ちて芽が出たものではないのですか?
雑草の種の発芽
いち さん
今年はコロナウィルスのおかげで、学校も休みばかりでしたね。でも、いちさんは散歩をしてもただ歩くだけでなく、いろいろな植物が芽を出し、成長して花をつけ、種(種子)ができるまでをずっとかんさつをしていたのですね。そして今度はできた種子を集めて、芽がでる(発芽:ハツガと言います)かどうかを調べようとしている。素晴らしいことです。理科のけんきゅうは、まずかんさつして、そこで「これはどういうことだろうか」とぎもんを持ち、それを調べてみようという気持ちから始まります。いちさんもけんきゅう心も持ったということですね。
さて、「いろいろ集めた種子は、まいてもぜんぶが発芽するわけではなかった。」ということですね。それは、その通りです。野草(野生の植物)の種子は、できてもすぐ発芽できるとはかぎらないのです。植物はいったん発芽して、芽生えが成長を始めると、一生その場所を離れることはできません。特にまだ芽生えの頃は周囲のかんきょうの大きな変化(例えば気温など)にはとても弱いのです。だから、自然のじょうたいでは、そのような変化が起きないようなかんきょうがととのうまでは発芽しないで待っているのです。これを「休眠(キュウミン)」といいます。休眠を起こす仕組みや、休眠が終わって発芽ができるようになる仕組みについては、このコーナーで「休眠」という項目で調べてください。今までにたくさんの質問・回答がのっています。難しいかもしれませんので、ご両親か誰かに読んでもらってください。
ふつう、夏・秋の終わりに種子ができる場合は、種子が地面に落ちて、しめったじょうたいで冬を越す、つまりある期間低温の時期を過ごすことが休眠の終わる条件になります(登録番号2542を読んでください)。また、種子の中には明るいところで発芽するものや、反対に暗いところのほうが発芽しやすいものもあります(登録番号2895を読んでください)。
次に、一本の植物にできた種子は、まけばぜんぶ一度に発芽するというものではありません。いっせいに発芽して、かんきょうの大きな変化で芽生えがぜんぶ死んでしまわないように、発芽の時期がバラバラになっていると考えられます。
ナガミノヒナゲシは外国から来た帰化植物で、最近あまり広がりすぎて他の日本の植物の生育のじゃまになっている場合もあるということで、「要注意外来植物」になりかかっています。しかし、お花はきれいですね。この植物の種子の発芽についてのけんきゅうがいくつかありますが、その一つによると、一番いい発芽の条件は4℃に45日間置いてから(低温処理:テイオンショリといいます)常温にもどしてやる場合だそうです。この場合でも発芽は40%強程度でした。また、発芽には暗いところより明暗あったほうが良いようです。家庭でやる場合はしめったペーパータオルの上に種子をパラパラまいて、乾燥しないようにして冷蔵庫のチルド室に1.5~2か月置いてから、室温に戻してやると発芽するでしょう。試してみてください。また、別のけんきゅう報告によると、ナガミノヒナゲシの種子には秋に発芽するものと、春に発芽するものが混じっていて、秋に発芽したものは、冬が寒いと枯れてしまうけれども、暖かいと大きく育つということです。このような2種類の種子をつくるということは、うまくいけば一年に二度はんしょくのチャンスがあるわけです。これはナガミノヒナゲシが子孫を増やすための工夫かもしれませんね。
オオアレチノギクやハキダメギクのように次々と育っていくのは、上に書いたように、発芽の時期が遅かったものだと思います。多分新しい種子が発芽して育ったものではないでしょう。
ところで、雑草という植物の分類の仕方はありません。登録番号2423を読んでください。
これからも自然かんさつを続けて、どんどん疑問を感じてくだい。
今年はコロナウィルスのおかげで、学校も休みばかりでしたね。でも、いちさんは散歩をしてもただ歩くだけでなく、いろいろな植物が芽を出し、成長して花をつけ、種(種子)ができるまでをずっとかんさつをしていたのですね。そして今度はできた種子を集めて、芽がでる(発芽:ハツガと言います)かどうかを調べようとしている。素晴らしいことです。理科のけんきゅうは、まずかんさつして、そこで「これはどういうことだろうか」とぎもんを持ち、それを調べてみようという気持ちから始まります。いちさんもけんきゅう心も持ったということですね。
さて、「いろいろ集めた種子は、まいてもぜんぶが発芽するわけではなかった。」ということですね。それは、その通りです。野草(野生の植物)の種子は、できてもすぐ発芽できるとはかぎらないのです。植物はいったん発芽して、芽生えが成長を始めると、一生その場所を離れることはできません。特にまだ芽生えの頃は周囲のかんきょうの大きな変化(例えば気温など)にはとても弱いのです。だから、自然のじょうたいでは、そのような変化が起きないようなかんきょうがととのうまでは発芽しないで待っているのです。これを「休眠(キュウミン)」といいます。休眠を起こす仕組みや、休眠が終わって発芽ができるようになる仕組みについては、このコーナーで「休眠」という項目で調べてください。今までにたくさんの質問・回答がのっています。難しいかもしれませんので、ご両親か誰かに読んでもらってください。
ふつう、夏・秋の終わりに種子ができる場合は、種子が地面に落ちて、しめったじょうたいで冬を越す、つまりある期間低温の時期を過ごすことが休眠の終わる条件になります(登録番号2542を読んでください)。また、種子の中には明るいところで発芽するものや、反対に暗いところのほうが発芽しやすいものもあります(登録番号2895を読んでください)。
次に、一本の植物にできた種子は、まけばぜんぶ一度に発芽するというものではありません。いっせいに発芽して、かんきょうの大きな変化で芽生えがぜんぶ死んでしまわないように、発芽の時期がバラバラになっていると考えられます。
ナガミノヒナゲシは外国から来た帰化植物で、最近あまり広がりすぎて他の日本の植物の生育のじゃまになっている場合もあるということで、「要注意外来植物」になりかかっています。しかし、お花はきれいですね。この植物の種子の発芽についてのけんきゅうがいくつかありますが、その一つによると、一番いい発芽の条件は4℃に45日間置いてから(低温処理:テイオンショリといいます)常温にもどしてやる場合だそうです。この場合でも発芽は40%強程度でした。また、発芽には暗いところより明暗あったほうが良いようです。家庭でやる場合はしめったペーパータオルの上に種子をパラパラまいて、乾燥しないようにして冷蔵庫のチルド室に1.5~2か月置いてから、室温に戻してやると発芽するでしょう。試してみてください。また、別のけんきゅう報告によると、ナガミノヒナゲシの種子には秋に発芽するものと、春に発芽するものが混じっていて、秋に発芽したものは、冬が寒いと枯れてしまうけれども、暖かいと大きく育つということです。このような2種類の種子をつくるということは、うまくいけば一年に二度はんしょくのチャンスがあるわけです。これはナガミノヒナゲシが子孫を増やすための工夫かもしれませんね。
オオアレチノギクやハキダメギクのように次々と育っていくのは、上に書いたように、発芽の時期が遅かったものだと思います。多分新しい種子が発芽して育ったものではないでしょう。
ところで、雑草という植物の分類の仕方はありません。登録番号2423を読んでください。
これからも自然かんさつを続けて、どんどん疑問を感じてくだい。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-09-05