質問者:
大学生
くろ
登録番号4874
登録日:2020-09-16
オーキシンについて調べると、茎頂部分でオーキシンが作られ根に下るとありますが、いちごやセロリのように芽が下部にある植物のホルモンの作られ方や移動の仕方は同じですか?みんなのひろば
植物ホルモンについて
またオーキシンとサイトカイニンの影響で、植物体の上部では脇芽が少なく下部は多いということがわかりました
では芽が下にあり高さのない植物の、脇芽が多いとき、少ないときの植物体内のホルモンはどのようになっているのでしょうか
単純に脇芽が多いとサイトカイニンの濃度が高いと思ったのですが、芽が増えるとオーキシンも増えるので、ホルモンバランスがどのようになっているのか教えてください
くろ さん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
いちご(オランダイチゴ)やセロリの一株は確かに普通の植物と外見が違って茎がはっきりと見えないで、葉が根から直接出ているように見えます。これを根出葉と言いますが、その基部には短い茎があります。したがって、基本的には茎から葉が出、その基部には腋芽がある点では他の植物と全く同じ基本構造と言えます(登録番号4831参照)。さて、オーキシンは茎頂で合成され、根の方向(重力方向)に向かって移動する(極性移動)点では同じですが、オーキシンは茎頂だけで合成されるばかりでなく、葉でも合成されます。最近のオーキシン生合成酵素を分子レベルで検出する手法を用いると、顕微鏡的レベルでオーキシンが局所的に合成され、茎頂分裂組織における葉原基形成、根における側根形成を誘起するなど、形態形成に基本的役割を果たすことが判ってきました。
「芽が下にあり高さのない植物の、脇芽が多いとき、少ないときの植物体内のホルモンはどのようになっているのでしょうか」:すべての植物種で実証されている訳ではありませんが、腋芽が成長するときには腋芽のついている茎側にサイトカイニンが合成されることが判っています(登録番号1913, 2465, 2586参照)。「芽が増えるとオーキシンも増えるので、ホルモンバランスがどのようになっているのか」については器官形成の場所、種類、時期などによって、また植物種などによって違うはずですから、個々に調べることが必要になってきます。細胞培養やそこからの器官形成などから判ってきた培地におけるホルモンバランス(マクロなレベルです)と自然の形態形成におけるミクロなレベルのホルモンバランスとは必ずしも同じレベルで考えることは出来ないと思います。
1つだけはっきりしていることはホルモンバランスが異常になれば形態形成、成長においても異常になると言うことです。近年では、古典的な植物ホルモンに加え、新たな植物ホルモンと見るべき物質が多数発見されつつあります。これらのホルモンバランスの生理的働きを総合的に見るために多くの研究者が精力的に努力されているのが現状です。くろさんが関心を持たれた現象(脇芽の数の植物体の位置における違い)、つまり葉が出る数の違いを追跡することも面白い課題だとは思います。頑張って追究して下さい。
このQ&Aコーナーで「腋芽、頂芽優勢」で検索するとかなりたくさんの参考になる話題があります。これらを参照なさると課題の核心がもう少し具体的になるかも知れません。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
いちご(オランダイチゴ)やセロリの一株は確かに普通の植物と外見が違って茎がはっきりと見えないで、葉が根から直接出ているように見えます。これを根出葉と言いますが、その基部には短い茎があります。したがって、基本的には茎から葉が出、その基部には腋芽がある点では他の植物と全く同じ基本構造と言えます(登録番号4831参照)。さて、オーキシンは茎頂で合成され、根の方向(重力方向)に向かって移動する(極性移動)点では同じですが、オーキシンは茎頂だけで合成されるばかりでなく、葉でも合成されます。最近のオーキシン生合成酵素を分子レベルで検出する手法を用いると、顕微鏡的レベルでオーキシンが局所的に合成され、茎頂分裂組織における葉原基形成、根における側根形成を誘起するなど、形態形成に基本的役割を果たすことが判ってきました。
「芽が下にあり高さのない植物の、脇芽が多いとき、少ないときの植物体内のホルモンはどのようになっているのでしょうか」:すべての植物種で実証されている訳ではありませんが、腋芽が成長するときには腋芽のついている茎側にサイトカイニンが合成されることが判っています(登録番号1913, 2465, 2586参照)。「芽が増えるとオーキシンも増えるので、ホルモンバランスがどのようになっているのか」については器官形成の場所、種類、時期などによって、また植物種などによって違うはずですから、個々に調べることが必要になってきます。細胞培養やそこからの器官形成などから判ってきた培地におけるホルモンバランス(マクロなレベルです)と自然の形態形成におけるミクロなレベルのホルモンバランスとは必ずしも同じレベルで考えることは出来ないと思います。
1つだけはっきりしていることはホルモンバランスが異常になれば形態形成、成長においても異常になると言うことです。近年では、古典的な植物ホルモンに加え、新たな植物ホルモンと見るべき物質が多数発見されつつあります。これらのホルモンバランスの生理的働きを総合的に見るために多くの研究者が精力的に努力されているのが現状です。くろさんが関心を持たれた現象(脇芽の数の植物体の位置における違い)、つまり葉が出る数の違いを追跡することも面白い課題だとは思います。頑張って追究して下さい。
このQ&Aコーナーで「腋芽、頂芽優勢」で検索するとかなりたくさんの参考になる話題があります。これらを参照なさると課題の核心がもう少し具体的になるかも知れません。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-09-25