一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

光合成について

質問者:   会社員   よだ
登録番号0049   登録日:2004-04-19
拝啓

光合成について教えて頂きたいのですが。

私は農業資材販売の会社の者ですが、施設園芸(ハウス栽培)内は通常の大気に比べ、有る一定の閉ざされた空間と言うこともあり、屋外よりわずか酸素濃度が高いと考えます。
その酸素を有効利用したいと考えます。
施設園芸が可能な野菜・果樹・花etcの違いにより光合成による酸素生成量というものに違いは有るのでしょうか?
又違いが有るとするならば、どのような植物が酸素生成量が豊富なのでしょうか?もし酸素生成量のグラフなどがあれば参考としたいのですが、宜しくお願い致します。
私が考えるに、糖度が高い植物ほど糖度合成に光合成を必要とする為、酸素合成力も高いと考えますがどうでしょうか。
諸先生方のご意見、ご指導の程宜しくお願い致します。

敬具
よだ様

 農林水産省、農業生物資源研究所で光合成の働きを研究されている徳富(宮尾)光恵先生にお答えいただきました。ご参考になれば幸いです。

 光合成の際、固定される二酸化炭素と放出される酸素の比は、ほとんどの場合1です。この比は植物の発育段階や栄養条件によって若干変動しますが、1から大きく変化することはありません。ですから、光合成能が高い植物ほどより多くの酸素を放出します。一般的に、果樹を含む樹木、花、観葉植物等は光合成能が低いので、酸素生成量も低いでしょう。一方、トウモロコシやイネなどの作物や雑草は光合成活性が高いので、酸素生成量も高いと考えられます。
 糖度が高い植物ほど酸素生成力が高いのではないかとのご質問ですが、必ずしもそうとは限りません。光合成で作られた炭水化物は、糖以外にも様々な物質に変化するので、糖度は必ずしも光合成能の目安にはなりません。
 かなり大雑把な言い方になりますが、生育が速い植物ほど光合成能が高く、酸素生成量が多いと考えていいと思います。花の中でもアサガオは生育が速いので光合成能が高いかもしれませんね。

徳富(宮尾)光恵
(農業生物資源研究所生理機能研究グループ光合成研究チーム)
広報委員長
三村徹郎
回答日:2006-10-20