質問者:
高校生
翠
登録番号4925
登録日:2020-11-26
私は最近、アントシアニン、カロチン、フラボンのこの3色が混ざり合うことで様々な色の花弁が存在していることを知りました。ここで、2つの疑問が思い浮かびました。花弁の色
まず、花弁が白い植物は色素を含んでいるのか。もし色素を含んでいるとしたら、具体的にどのような色素を含んでいるのか。次に、これらの色素を自分たちの好きなように配合し、好きな色の花を作ることは可能なのか。
翠 様
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
白い花弁には白い色素を含んでいるのかという質問だと思いますが、白い色素があるわけではありません。白く見えるのは、すべての波長の光を乱反射することによります。組織や細胞の構造や、細胞内や細胞間隙に存在する小さな気泡などが乱反射の原因になります。今までに同様な質問が本コーナーに多数寄せられています。登録番号1423, 1678, 4227, 4538 などで詳しく説明されていますのでご覧になって下さい。
それぞれの色素はそれぞれ多くの過程を経て合成されます。それぞれの課程の進行には、それぞれの過程を触媒する酵素が必要です。その酵素はその酵素の遺伝子をもとに作られます。思うように好きな色の花を作ることができるのかということですが、一例として、その植物に本来ない色の花を咲かせようという試みをあげます。それには、目的の色の花を咲かせている植物(以後Aとします)で、その色素の合成がどのような過程で合成されるか(合成経路)を知ることが必要です。また、目的の色の花をつけない植物(以後Bとします)で、Aの合成経路と比較して、合成経路のどこが原因で目的の色の花がつかないのかを知ることが必要です。それがわかれば、合成経路のうち原因になっている過程の遺伝子をBに導入してやれば、Bに目的の色の花が咲くのではと考えられます。このような考えで、青色の花がないバラに、青色の花をつけるバラを作ろうという試みがされました。青色のバラについては、登録番号1770, 2643 に詳しい解説がありますので、ご覧になって下さい。
青色のバラをつくる試みでは、青みがかったバラはできましたが、青いバラになるのにはさらに他の要因があるようです。この事例からだけでも、好きな色の花を思うように作りだすのはなかなかの難事だということがお分かり頂けることと思います。
なお、質問内容の最初に、”アントシアニン、カロチン、フラボンのこの3色”とありますが、これらは色ではありません。化学構造の似ている色素の総称(まとめた呼び方)です。例えば、アントシアニンには化学構造が少し異なる赤いアントシアニンもありますし、青いアントシアニンもあります。
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
白い花弁には白い色素を含んでいるのかという質問だと思いますが、白い色素があるわけではありません。白く見えるのは、すべての波長の光を乱反射することによります。組織や細胞の構造や、細胞内や細胞間隙に存在する小さな気泡などが乱反射の原因になります。今までに同様な質問が本コーナーに多数寄せられています。登録番号1423, 1678, 4227, 4538 などで詳しく説明されていますのでご覧になって下さい。
それぞれの色素はそれぞれ多くの過程を経て合成されます。それぞれの課程の進行には、それぞれの過程を触媒する酵素が必要です。その酵素はその酵素の遺伝子をもとに作られます。思うように好きな色の花を作ることができるのかということですが、一例として、その植物に本来ない色の花を咲かせようという試みをあげます。それには、目的の色の花を咲かせている植物(以後Aとします)で、その色素の合成がどのような過程で合成されるか(合成経路)を知ることが必要です。また、目的の色の花をつけない植物(以後Bとします)で、Aの合成経路と比較して、合成経路のどこが原因で目的の色の花がつかないのかを知ることが必要です。それがわかれば、合成経路のうち原因になっている過程の遺伝子をBに導入してやれば、Bに目的の色の花が咲くのではと考えられます。このような考えで、青色の花がないバラに、青色の花をつけるバラを作ろうという試みがされました。青色のバラについては、登録番号1770, 2643 に詳しい解説がありますので、ご覧になって下さい。
青色のバラをつくる試みでは、青みがかったバラはできましたが、青いバラになるのにはさらに他の要因があるようです。この事例からだけでも、好きな色の花を思うように作りだすのはなかなかの難事だということがお分かり頂けることと思います。
なお、質問内容の最初に、”アントシアニン、カロチン、フラボンのこの3色”とありますが、これらは色ではありません。化学構造の似ている色素の総称(まとめた呼び方)です。例えば、アントシアニンには化学構造が少し異なる赤いアントシアニンもありますし、青いアントシアニンもあります。
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-12-07