一般さん

みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。
質問を歓迎します。
1. 質問の「昼間光合成により葉緑体で生成されたブドウ糖がでんぷんになり蔗糖等の形で日中に葉・茎・根・花の全ての細胞に転流し昼間転流しきれなかった残りのでんぷんが夜間に葉緑体から蔗糖などの形で葉・茎・根・花の全ての細胞に転流されるので葉緑体に溜めたでんぷんは夜明け時にはほとんど残されていないということでしょうか？」に関して

１a)　CO₂は葉緑体で光合成により同化されて三炭糖リン酸（ジヒドロキシアセトンリン酸：糖リン酸の1種）になり、葉肉細胞内に輸送されてショ糖に合成されます。合成されたショ糖は植物の長期生存戦略から見て、もっとも有効な部位に師管を通って輸送されます。それぞれの細胞膜にはショ糖輸送体があり、その活性の強弱によりショ糖を取り込むあるいは排出するかが決まります。芽を出したばかりの植物では、光合成を活発に行うために、葉を茂らせ、茎をのばすのに使われます。十分成長したのちは、次世代の植物を残すために、有機化合物を、ある植物では開花して種子に、また別の植物では地下の塊茎、塊根に蓄えます。植物が若い内から、有機物をこれらの貯蔵組織に蓄えると、葉を茂らせて活発に光合成をすることがおろそかになり、他の植物との生存競争に不利になります。
1b）質問のように、光合成が活発なため、「昼間転流しきれなかった残りのでんぷんが 夜間に葉緑体からショ糖などの形葉・茎・根・花の全ての細胞に転流されるので葉緑体に溜めたでんぷんは夜明け時にはほとんど残されていないということでしょうか？」に関して：そのようなこともある程度起こっている場合もあるでしょう。これは、その植物の適応生存戦略に依存しています。いわば、工場の生産能力（光合成能力）は高いのに、輸送が追い付かないので、昼間はとりあえず葉にショ糖またはデンプンとしてため、夜に輸送するようなものです。需要が低い時期が続くと、製品の在庫を工場の敷地内にある期間にわたり貯めているように、葉に貯蔵することも起こります。例えば、まだ実をつけていない時期、窒素やリンなどの栄養素の供給が不十分で葉の成長に利用できない時期などがこれにあたります。このとき、光合成産物をショ糖あるいはデンプンのどちらの形で一時保管するかは植物の種類により異なります（例：「光合成事典」日本光合成学会編、Webで公開中で「デンプン葉」で検索すると解説が見られます）。植物によっては、葉以外の場所に有機物をため込むこともあります。例えば、サトウキビは茎の髄細胞に、サトウダイコンは根の髄細胞にショ糖を蓄積しますが、これらはのちに開花結実の時の炭素源・エネルギー源として利用されます。
1b）転流の仕組みについては、「植物：みんなのひろば」のホームページの検索欄で「転流」で検索すると過去の回答がたくさん出てきます。その中の登録番号0277, 1265が特に参考になると思います。

2. また、「植物が昼間も夜も呼吸しているなら養分が必要ですがそれは日中も夜も葉緑体が葉・茎・根・花の全ての細胞に養分を送り葉・茎・根・花の全ての細胞にでんぷんを貯蔵できる色素体のアミロプラストが存在するということになるのでしょうか？」に関して

２）細胞が師管を経由して受け取ったショ糖の使われ方は、細胞の種類や成長段階により異なります。細胞内で利用して、炭素源、エネルギー源として利用するのが最も一般的です。しかし、すぐには利用せずに、ショ糖として蓄積したり、サツマイモやジャガイモのように細胞内の白色体（葉緑体と同起源の細胞小器官）中にデンプンとして一旦貯蔵するものもあります。