一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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キハダ

質問者:   高校生   りょうすけ
登録番号4942   登録日:2020-12-19
こんにちわ。北海道に住んでいます。
以前小楢が落葉しないという質問をしたと思うのですが、三年前に九州から購入したキハダ
2m前後の木があります植えた環境もほぼ同じで草原で、日当たりもかなり良いところです。これも12月になり、雪が降り積もったりしても落葉しないで青々した葉がついていたので不安でした。結局雪の重みで葉、葉柄共に緑のまま外れたのですが、キハダは葉柄内芽ということもあり、冬芽がまだ緑色で周りに自生してるキハダと比べると冬芽の色も違い、
寒風にあたるにつれて茶色になりしっかり膨らんだ冬芽らしい色 形になりました。
これは、ちゃんと冬芽として機能してるのでしようか?
あと、何故 葉が霜が降りた時点で周りの木々と同じように紅葉 落葉しなかったのでしょうか、これは、土壌の問題なのでしょうか?
回答できることがあればよろしくお願いします

長い質問になって、しまいすみません
りょうすけ さん

続けてのご質問、このコーナーとしてはたくさんの質問を頂けることは有難いことですから、ご遠慮なくご利用ください。
さて、今回はキハダについてですが、キハダは日本では北海道から沖縄まで自生する樹種ですから、りょうすけ君がお住みの北海道でその生育に問題があるものではありません。私の住んでいる愛知県でも川筋などに見られます。
まず2番目のお尋ねについて。黄葉、紅葉に先立つ葉緑体の分解で代表される葉の老化が始まる時期は同じような環境におかれたすべての樹木、樹種で同じものではありません。それは、日光のあたり方、温度の分布、風の吹き方などのいわゆる微気象が樹木の位置、葉の位置などで違い、それが影響を及ぼすことが多々あるからです。特定の樹木が、別の地域(位置)にある樹木と歩調を合わせて変化しなくても心配することは無い、普通のことです。同一樹木の中でも葉のついている位置によって紅葉や落葉の時期は違うのが普通のことです(1本の木の葉すべてで紅葉が一斉におき、一斉に落葉することはむしろ稀なことです)。
さて1番目の冬芽についてですが、キハダは対生奇数羽状複葉で、葉柄の基部が膨らんで新芽を包み込んでいます。落葉してはじめて見えるようになりますが、葉がまだ元気な頃から翌年の準備として新芽ができはじめています。自然の落葉でなく、物理的に葉が落とされても(例えば強風などで)中に新芽(冬芽)ができているのが判るはずです。ある生育段階に達していればその後も冬芽として生育成熟するはずです。
つまり立派に冬芽として冬を越し、翌年春になれば生育を開始すると思います。キハダの冬芽は鱗葉が1枚で、茶色に色づけば枯れてはいないでしょう。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-12-21